都内某所にてプレゼンテーション。いつどこで芽が出るのか分からない種なので、さまざまな分野の方たちに、提案の主旨について説明する機会をいただけたことは誠に有り難い。課題となるコストは、開発側の工期を短縮する工夫と、導入側の理解を得る努力、その両面から解決を図る必要がある。

昼に食べたチキンカツは、夕方になっても満腹感を維持できるくらいのボリュームだった。常用漢字のデザインチェックと修正作業。使用頻度の高い漢字から品質を改善していく。

学生たちに「いい書体とは?」というなげかけをして、いろいろなことばを引き出していく。あたりまえすぎるせいか「読みやすい(書体)」という回答はなかなか出なくて、「読みたくなるような」という答えがすんなり出てきたのが面白い。

午後から取材。書体デザインに関する応答はもちろんのこと、わたし個人に向けられた質問に対して、とりとめのない答えになりがちな点をあらためたい。

名古屋滞在中に、小中高の12年を過ごした町を弟の車で回ってもらった。フナ釣りをした川、住んでいた家、通っていた学校など、30年前、40年前の記憶に保存されている風景が、錆びつきながらもしぶとく残っていることに驚愕した。どこを根っこに自分が生えていて、なにを養分にいまの自分があるのか。この問いかけと答えの効能は人それぞれだろうけど、足元をふらつかせない材料のひとつにはなるだろう。

名古屋駅の地下にあるコメダ珈琲エスカ店で、都市フォントに関する意見交換を二時間ほど。ひとしきりおみやげウォッチングをしたあと、今回はカレーきしめんを買って帰る。

愛知芸大で書体課題の講評会。拙いながらも、試行錯誤によって達し得た表現には、何かしら魅力が宿るものである。きょうはそういう作品をたくさん見ることができた。講評が終わったあと、藤が丘で学生たちと食事会。コラーゲンたっぷりのしゃぶしゃぶが女子のハートをつかんでいた。

健康診断の予約日だったことをすっかり忘れていて、慌てて健診センターに行き簡易的な検査を受けてきた。ゆえに今回はバリウムなし。昼は梅おろしトンカツ。試作書体の資料を先方チームに送付したあと、開発中書体の修正作業に移る。夕方からプレゼン用PDFの手直し。

遅めの昼を食べながら、開発中書体のデザインチェック。午後から赤入れした漢字の手直しに入る。一字一字は手際よく、全体を通しては粘り強く、この書体の完成度を上げていきたい。新人が制作している試作書体のサンプルをホワイトボードに貼り出して、調整が必要な箇所に具体的な指示を送る。

試作書体の仕様を仔細に検討し、これはという案を二つに絞り込む。開発目的が明確なため、設計方針に迷いが生じにくい。道具の使い方や素材の活かし方を軸として、新たな課題に応えるために行なった必要最小限の創意工夫から、なかば必然的に新しい書体を派生させた例は、書体変遷史を振り返ればいくつも見つかるし、その必然性の強度こそが書体を様式たらしめる源泉であると私は考えている。

<< BACKNEXT >>