試作仮名をブラウザの初期設定フォントに指定して、オンスクリーンでの見え方をたしかめる。想像していた組み面よりいい感じ。スイーツ、ファッション、スポーツ、ITなど、さまざまな分野のサイトとこの書体の相性を見て回る。メニューや小さい文字表示で効果を発揮しそうだ。「読みやすくて新しい」に、もうひと磨きかけていきたい。

合成フォントのバリエーションをいろいろ作っていると、漢字と仮名のウエイトが合わない組み合わせがけっこう出てくる。古風な明朝体であれば、「もともと明朝体に合わせる仮名は漢字より細いもの」という見方を理由にウエイト差を吸収することも可能だが、書体のカテゴリーによっては、漢字と仮名のデザイン属性が微妙にズレているだけでも落ち着かない。

週末にTP明朝の資料を片付けてほっとしたのも束の間、別の部屋に倍くらいの分量が残っていた。重要な資料を選別して時系列順にファイリングし、出力プルーフは9割がた処分する。14時から取材。資料の整理と合わせ、5年間の試行錯誤と紆余曲折を振り返る良い機会となった。

内製ツールを使って試作仮名のバリエーションをフォント化し、合成フォント機能を利用してデザインを確認する。サンプルに選んだ文章との相性は良い。全体ミーティングのあとの個別ミーティングが長引く。外部環境が厳しさを増すなかで、遅延の連鎖は命とり。

仮名を全体にわたって手直し。ツールやワークフローの現状を思い煩っていても仕方がないので、デザインをブラッシュアップしやすい従来通りの方法で制作を進め、簡易ツールでフォント化した。雷雨が止んだのを見計らってレタースペースに行き、組版サンプルを出力して持ち帰る。風呂上がりに眺めるは楽し。おあつらえ向きに夜風は涼し。

昼からオフィスで書類の片付け。20センチ以上積み上っていたTP明朝関連の出力物は9割方処分することにした。帰りにツタヤに寄って映画レンタル。9月に公開される『猿の惑星〜新世紀』に備えて『猿の惑星〜創世記』を観る。始まりを描くシナリオが明快。

組版チェック用の例文を選ぶためにスイーツのサイトをガン見しているところを目撃された。言い訳するのも変なので、落ち着いてブックマーク。ええ、和洋問わず甘いものは大好きですとも。

開発中書体のワークフローを点検し、エンジニアリング待ちの部分をやり繰りするためのアイデアを出し合う。試作仮名のバリエーションづくりと書体スケッチ。夕方から激しい雷雨。夜は上品な玉子かけごはん。

字幅の微調整が終わり、試作仮名の組版テストに移る。落としどころを探るための材料づくりと、落としどころを決めるための資料づくり。短いテキストだったので手組みを選択したが、やはり効率が悪い。なんとしても欲しいのは、身体の延長線上にあるような書体制作ツールである。錯覚でもいい。自然さが備わってさえいれば。

「アルドノア・ゼロ」が面白い。第1話から第3話まで、期待を越えるクオリティで進んでいる。ガジェットを利用した市街地でのゲリラ戦という設定に意表を衝かれた。3話続けて映画館で観たら、高揚感がさらに増すだろう。個人的にはロボットの造形と戦闘手法の展開が楽しみだ。

下の写真は「アルドノア・ゼロ」のプロモーション用リーフレット08。見出しはTP明朝ハイコントラスト、テキストは游明朝体で組まれている。

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