来月は今年二つめの山場。当初の予想を越えてやるべきことが入り乱れている。先週は、家で寝てたほうがいいようなレベルの体調だったがなんとか持ちこたえた。必要な準備もまずまず整ったし、あとは自分に求められている役割を果たすだけ。

20分くらいのボリュームでプレゼン用のPDFをつくる。素材がほぼ揃っているので大丈夫だろうと思っていたのだが、意外にむずかしい。夕食は豪勢に海老フライとカツをのせたカレー。きのう残したおかずを有効活用して。

午前中にレタースペースに行き、2階の図書を配列する。数ヶ月まえに1階の本を移動してから整理もままならず、必要な本を探すのに難儀していたが、ジャンル分けをしながら背表紙をできるだけ見えるようにしたことでかなり分かりやすくなった。

顧問税理士さんと決算一ヶ月前の確認をおこなう。収益面の底堅めが最大の課題。徐々に屋台骨を太くしていきたい。プレゼン用のPDFがひとつ完成した。別プロジェクトのプレゼン資料の作成に入る。夕方から武蔵美で全体会議。

打ち合わせから戻る途中で鳥よしに寄ってカウンターに座ると、うしろから「梅おろしですね」と声がかかった。5択ある日替わり定食と15種類ほどある通常定食のなかから、私が梅おろしトンカツを注文することは折り込み済みだったようだ。行きつけの店なのに行くたび髪型の注文をしなければいけない最近の床屋も見習ってほしいところである。男の夏はトンカツとスポーツ刈り。これで決まり。

サイトとカタログの文面およびデザインの最終チェック。あっち行きこっち行きしながら合間にプレゼンの準備。若いデザイナーにつくってもらった資料を見ながら書体設計の仕様を確認する。涼しいというより肌寒い一日。

思わぬ雑誌から思わぬ主題で原稿の依頼があった。こういうのはぐずぐずしていると億劫になって、嫌さかげんが文章に出てしまうので、少ない手持ち札のなかからとっておきの一枚を切って一気呵成に書き上げる。なるほど、だからエッセイストはつねにネタを補充する必要があるわけだ。

ギンザ・グラフィック・ギャラリーでやっている『ラース・ミュラー』展で見つけた良書をさっそく注文した。この企画展のために用意された小冊子の文章が充実していて、デザイナーと出版人を兼ねるラース・ミュラー氏の本づくりにかける思いが伝わってくる。

午後から仕事場で作業。夕風の涼しさと虫の音に秋の到来を感じる。読書にうってつけの夜だ。

横須賀美術館で『ウルトラマン創世記展』を観る。弱いけどフォルムがかっこよかったウィンダムは、正面のカットしか印象に残っていないが、真横から見たときの頭部が非常に美しかった。ウルトラマンの造形が弥勒菩薩からヒントを得ているのは有名な話だが、エースの頭部をまじまじと見ているうちに、これはガンダーラ由来ではないかと思った。ちなみにウィンダムの横顔からは、迦楼羅に通じる要素を看て取った。
帰りにそごう横浜に寄って『歌川国芳展』を観てきた。江戸ッ子をよろこばせ、大ヒットとなった『水滸伝』のシリーズ。美人の髪ならまだしも、荒くれ者どものヒゲをあれほど繊細に彫る情熱はいったいどこから来るのだろう。着想をかたちにする絵師がえらいのは当たりまえのことながら、浮世絵発展の陰の立役者は彫師であった。

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