高校生になった息子がついに携帯を持つことになった。いきなりiPhone狙いとは贅沢な話だが、自分で貯めたお金で買うのだから否はない。夜9時以降は使わないという約束だけ。あっという間に使いこなすであろうことを見越して、教えてもらおうという魂胆もなくはない。

自宅で武蔵美のレクチャー用スライドづくり。漢字書体の変遷について。夕食前に三時間ほど漢字制作。小雨降る。天ぷら食う。

新人がつくった漢字のデザインチェック。修正を指示する回数が少しずつ減ってきている。書体の要所が見えつつあるようだ。作り続けているかぎり何度でも目からウロコが落ちるし脱皮できる。とくに初期のころはその頻度が高くて明らかなので、成長している自分を感じられるはずだ。定石の効用は、学びはじめの時期に顕著にあらわれる。基本を受け入れる素直さを欠いたまま初期段階を越えてしまうとあとがたいへん。

新幹線の車中で山田正紀の『神狩り2』を読了。圧巻の冒頭から言語を軸に展開する中盤まではかなり好みで、とにかくカッコイイSFを書きたかったという著者の思いは伝わってきた。同著者の、言語モノなら『幻象機械』、時代モノなら『早春賦』、冒険モノなら『宝石泥棒』あたりがおススメ。もちろん『神狩り』と『弥勒戦争』は外せませんが。

大学時代によく利用していた白樺書房がついになくなった。聞けば数ヶ月前のことだそうだ。駅前によくある小さな本屋さんで、思想哲学関係の品揃えが驚くほど充実していて隠れファンの多い店だった。大学生の4割が本をまったく読まないという最近の統計を知ってから、いくつかの大学で実際に「一ヶ月に一冊以上本を読んでいる人」の数を調べてみたところ、40人中14人だった。65%が本を読まないという結果である。

朝すこし仕事をしてから愛知芸大へ。デザイン専攻の三年生と中国の研究生を対象にしたレクチャーを1時間、そのあと書体課題の中間チェックに入る。民謡フォントの提案がツボだった。GW明けの講評会が楽しみだ。友人知人と栄「金時」にて夕食会。大学と社会、デザインと経営の関係について語り合う。

武蔵美の授業で火曜日にいったん疲労のピークに達し、出がらし状態で水曜日は漢字をつくり、木曜日は渋谷に出かけ、カメラの前でフォントを語る。ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらら〜

半日漢字制作。新人がつくった漢字をていねいに見る。デザインのチェックポイントが多いので、重要度に応じて段階的に修正指示を出す。ミスドに資料を持ち込んで閲覧とメモ。

武蔵美三年目にしてコンピュータ室でマイクを使うことを覚えた。これは助かる。先週手こずったドローイング系ソフトの演習も今週はかなり良い感じで進み、学生の顔から不安の色が薄らいだのは何よりだ。時間的にも余裕があったので、私がふだんやっている書体のアイデアスケッチからIllustratorでアウトラインを描くところまでの工程を実演した。14時ごろレタースペースに戻り、漢字制作と契約に関するミーティングを行なう。

今週木曜日、Webキャンパス「schoo (スクー)」でおこなう授業の内容を、社内レビューにかけてブラッシュアップ。受けたいボタンを押してくれた人の数が予想より多くてびびっている。今回のレクチャーは、ブランディングというこれまで正面切って取り組んでこなかったテーマであると同時に、フォントにあまりなじみのない方を対象にしたため、えらく準備に手間取ったし戸惑っている。で、生放送。頭がまっしろになってアワアワなるところをお楽しみください。ドンミスイッ!いや、やっぱり見ないで。

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