寄稿文の草案を書き上げて早めに先方に送っておく。落ちついて書体制作にあたれるのはおそらく8月まで。9月からまた大学が始まるし、新しいプロジェクトが動きはじめる時期なので、あわただしくなる気配が濃厚である。
一年の三分の一くらいなにかしら体調不良なので多少調子が悪くてもまったく平気なのだが、先々週あたりから風邪の兆候が出はじめ、週末悪化して静養し、きょうは悪寒に見舞われさすがにしんどい。軽めの昼食をすませ、二階の和室で二時間ほど横になる。制作中書体のサンプルシートをつくり、発表時のことを想定しながら眺めてはメモる。
制作中のものとは別の方向性で仮名のデザインを試してみる。変わり仮名としてあったらいいかもという感触が得られたのはきょうの小さな収穫。やるべき仕事を速やかに終わらせる動機になるのであれば、種のストックは豊富なほうがいい。ひとつ仕上げてさあ次へという姿勢を保ちつづけられるかどうかは、おおむね自分次第である。
アドビOBとの食事会。15年ぶりに会う人もちらほら。Aさんの旦那さんが釣ってきた旬の魚が、刺身、天ぷら、寿司、タコ飯、マゴチラーメンに姿を変えて宴を彩る。心づくしの手料理に舌鼓を打ちつつ、多芸多才な人たちのエピソードを楽しませてもらった一晩。
デザイン修正の方針と赤入れしたシートの但し書きを説明し、新人に作業を引き継いでもらう。午後から長めの打ち合わせ。今後の方向性とターゲットを明確にし、具体的な作業項目へと落とし込んでいく。
長期プロジェクトの開発計画をこのまま継続するかどうか、数ヶ月間悩みぬいた結果、ついに決断を下すべきときがやってきた。さまざまな意見に耳を傾け、曇りなき判断を。
ベーシックな書体をつくってそれでこと足れりとはまったく思ってない。ときおり沸き上がるブッ飛んだ書体への思いは、アイデアをかたちにして描き留めておくことでクールダウンする。おそらくマッドマックスなんか観に行った日には、ふだん抑え込んでいる異様な書体への思いが再燃するにちがいない。
定例ミーティングのあと、そのままスタッフ全員に参加してもらって、一年間のふり返りと今後の目標について情報共有をおこなう。午後から本棚の組み立て、および書籍の移動。二階のひと部屋を書庫にして、一階の作業スペースを拡張した。
漢字のデザイン修正を終日。じつに磨きがいのある書体だ。使用頻度の高い文字はとりわけ念入りに。夕方涼風。夜は自宅でチーズオムレツ。
品質チェックの基準を一段上げて、追加の赤入れをおこなう。この漢字領域をしっかり作ってから次の段階に進むべし。どこまでも澄明な書体を目指して。