試作書体の仕様を仔細に検討し、これはという案を二つに絞り込む。開発目的が明確なため、設計方針に迷いが生じにくい。道具の使い方や素材の活かし方を軸として、新たな課題に応えるために行なった必要最小限の創意工夫から、なかば必然的に新しい書体を派生させた例は、書体変遷史を振り返ればいくつも見つかるし、その必然性の強度こそが書体を様式たらしめる源泉であると私は考えている。