9月とは思えない肌寒さ。クラムチャウダーを飲みながら文字をつくる。新規制作は捗らず。修正にかかる時間を見積もり直したほうが良さそうだ。

今月末の決算に関連して、顧問税理士さんにメールを送る。漢字のデザイン修正と新規の漢字制作。手元のPDF資料を見ながら、電話経由で仮名のデザインに関する打ち合わせ。夕食は自宅にてハヤシライス。

二巡目となる漢字のデザイン修正。出力物でOKを出した文字であっても、実際にファイルを開けてみると、手直しが必要な箇所がどこかに残っている。書体の安定感を左右する工程だけに、まとまった時間が取れるときに腰を据えて進めておきたい。

新しいシステムに移行するため、旧いデータの一部を手作業で移し替える。動作自体に問題はないようだ。昼は質素なスパゲティ。おやつはしっとり美味なるバウムクーヘン。デザインの修正指示を書き入れたシートを新人に渡して、次の作業工程を説明する。

武蔵美に自分のMacBookを持ち込んで、学生がつくった書体をフォント化していく。出来上がったフォントファイルを本人に渡し、Illustratorで試し打ちしてもらう。学生の顔が輝く。タイピングすると、自分のつくった書体が画面の上でことばになる。その同期性には、いまでもしびれる。講評会は来週金曜に設定した。今年も見どころのあるユニークな書体がいろいろ並びそうだ。

大学時代の恩師に会いに行く。同級生が持参した25年前の先生の作品と詩書画の共作をまぶしく眺める。痩雲こと片岡修先生の書と俳句に感嘆しきり。「山門の仁王に挑む蝉しぐれ」は磯田先生の作だったか。デザインの埒外にあって溌剌とする、一回性の表現が持つ強さ。

 墨痕にドヤ顔みたる晩夏かな   茶門

複数の書体ファミリーをどう関係づけるか、チャートを眺め回して想を練る。気分転換するため池袋を散策。サンシャイン通りでサンバのカーニバルに巻き込まれる。

ベトナム風フォーを食べてから仕事場へ。漢字を出力してデザインチェック。赤を入れ出すと切りがないのだが、この書体の出来がのちのち大きな意味を持ってくるはずなので、できるかぎりしっかり作っておきたい。

できあがった試作フォントを先方に送付して、コメントを待つ。そのあいだに開発中フォントの漢字を見なおし、品質を上げるための赤入れ作業。まだ良くなる。午後から次期開発書体の仕様について議論する。想定ユーザーと用途をもう少し明確にする必要がありそうだ。

意のままに操れる道具で闊達自在な書体をつくり、なめらかな開発工程でエラーのないフォントを生成する。これはもちろん理想の話。悪戦苦闘の歴史は続く。

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