最善の状態でフォントをリリースしたつもりでも、改善すべき点は必ずどこかに残っている。仮に、書体のデザインに問題がないとしても、仕様が変わり、技術が変わり、媒体が変われば、対応すべき新たな課題が発生する。書体という息の長い素材の作り手として、継続性を重視する理由はそこにある。
昨晩のうちに学生から預かっていたデータをフォント化し、今朝は会社で仕事をしてから武蔵美へ向かう。木漏れ日を反射して流れる玉川上水と、たどたどしいけど真っすぐな学生たちはどこか似ている。のどを痛めてから食べてなかった冷やし担々麺を解禁。やはり美味い。午後から新規の打ち合わせ。
小塚さんと久しぶりに長電話。歳を聞かれて、「47になりました」と答えると、「いやぁこれからだねぇ鈴木君、ぼくがその気になって仕事を始めたのはその歳くらいからだよ」と85歳の小塚さんに言われると、たしかにこれからだなと思えてくる。午前中は書体制作に集中、午後から都市フォント原稿の加筆修正をおこなう。
大量のメモ書きと書体スケッチ。やわらかに調子よく頭と手が働いてくれる。肌寒いほどの日曜日。夕食は自宅で揚げたてメンチカツ。ビールは自粛。
会社の使命と展望を明快にするための草案づくり。ビジョナリーカンパニーやドラッカーの著作を読み返してみたが、ユニークな会社を立ち上げ、
立派な企業に育て上げた創業者の言葉のほうが今は真っすぐ胸に届く。
午後から広報に関する打ち合わせ。ことばの選び方やメッセージの発し方、学ぶべきことがたくさんある。
顧問税理士さんから決算前の説明を受ける。計画外の幸運に頼らず、計画を実行したうえで満足のいく結果を出すことが来期の課題。開拓者精神を忘れずに。
えびワンタン入りチキンラーメンを食べながら、書体の役割とタイププロジェクトの使命について書いた文章を校正する。より正確に依頼主の意図を汲みとって、大幅に書き改めた。十年前には漠然としていた考えが、こういう機会を経るごとに、次第に明らかになってきている。広報のプロに添削してもらったことで、ポジティブな面が強調され、文意もより明快になった。
二ヶ月ぶりに玉川上水の緑道を歩く。早足で15分歩いただけで息が上がるほど体力が落ちていた。視覚デザイン学科の研究室でソーセージパンをほおばってエネルギーを補給する。武蔵美後期授業の初日は、事前準備と真面目な学生たちのおかげで幸先良いスタートを切ることができた。14時まえに仕事場にもどり、序盤にあったプロジェクトを明確に一歩前進させる。
序盤が続いているプロジェクトと、中盤に入ったプロジェクトと、終盤にあるプロジェクト、それぞれの現状と見通しを確認する。全体のボルテージが上がってきているだけに、ボトルネックが生じないよう気をつけたい。半日漢字制作。