担当していた領域の漢字を作り終え、別書体の仮名制作に全面シフト。スタッフの協力を得て、新たなワークフローを試してみることに。制作・確認・修正のループを迅速に行なうことができるかが、書体開発の初期段階ではもっとも重要なポイントになる。制作が順調に進んでも、確認と修正にためらいが生じるような煩雑な手順では、書体品質へのマイナス要因になりかねない。
実家から玉ねぎとじゃがいもととうもろこしが大量に届いたので、仕事場にいた人たちにおすそ分け。じゃがいも三個を残してきれいになくなった。一番人気はとうもろこし。昨年は職場の台所でしょうゆ焼きにして皆で食べたのだった。漢字制作半日、仮名制作半日。
終日漢字制作。熟語をつくって文字のバランスを確認しながら作業を進める。漢字のデータは組織の蓄積、仮名のデザインは個人の蓄積がものをいう。
書体の方向性について依頼主と打ち合わせ。先方の要望と当方の試案がうまく重なった。一見保守的、その実挑戦的なところが面白い。次代につながる前進は、半歩といえど意味がある。
試作カタカナの資料づくり。自然なフォルムに自然なスペーシングを施し、従来書体との比較をおこなう。読みやすさの工夫は微妙でさりげなく、目につかないよう手をかけるという不思議な仕事である。半日漢字制作。
5日深夜0時から『アルドノア・ゼロ』の放送が開始された。ロボットアニメを初回から観るのはいつ以来だろう。テロップでTP明朝が使用される可能性がある、という連絡を関係者の方から頂いていたのだが、ぎりぎりまで何があるのか分からないので、本編を観るまで期待しないようにしていた。そしてついに本放送の時間。書体開発の方向性として「画面映えする明朝体」を目指していたこともあり、フォントが物語のなかで良い役割を果たしてくれることを願ってテレビ画面に視線を注いだ。それだけに、TP明朝(ハイコントラスト!)が画面になじんで現れたときは嬉しかった。書体開発者にとっては、リリースしたフォントが多くの人の目に触れるこの瞬間がたまらない。新しいアニメの絵面と新しいフォントの字面との調和は、想像した以上にうまくいっていたように感じられた。まずはひと安心である。
『アルドノア・ゼロ』については、有馬トモユキさんの熱のこもったデザイン活動を通じて見聞きしていた。思い返せば、TP明朝(当時開発名 AXIS明朝)を最初に発表した場「言葉のデザイン2010」の舞台裏で有馬さんは立ち働いていたのだった。そしていま、TP明朝の実質上のデビューに有馬さんが関わっておられることを静かに喜び、アルドノア・ゼロにかける人たちの熱の舞台の片すみに居合わせられたことを幸せに思う。
午前中は小雨もよう。息子と焼きそばをつくって食べる。きょうは自宅で平仮名のスケッチ。限界の太さを試してみる。
きのうのミーティングで持ち越しとなった文字セットの細部を調整する。かなりすっきりした。昼に都市フォントの制作手法についてアイデア出し。ここは大事なところでもあり面白いところでもある。半日漢字制作。
フォントの命名規則と文字セットに関するミーティング。妥当な案に落着した。午後からサイトのアップデートについて打ち合わせ。派手さはないが重要な次の一歩になるだろう。空き時間はもっぱら漢字制作。
きょうは仕事場にこもって漢字制作。まとまった時間は集中投下するにかぎる。好い調子は維持するにかぎる。晩飯に肉汁たっぷりシューマイ、食後に自家製コーヒーゼリー。