5日深夜0時から『アルドノア・ゼロ』の放送が開始された。ロボットアニメを初回から観るのはいつ以来だろう。テロップでTP明朝が使用される可能性がある、という連絡を関係者の方から頂いていたのだが、ぎりぎりまで何があるのか分からないので、本編を観るまで期待しないようにしていた。そしてついに本放送の時間。書体開発の方向性として「画面映えする明朝体」を目指していたこともあり、フォントが物語のなかで良い役割を果たしてくれることを願ってテレビ画面に視線を注いだ。それだけに、TP明朝(ハイコントラスト!)が画面になじんで現れたときは嬉しかった。書体開発者にとっては、リリースしたフォントが多くの人の目に触れるこの瞬間がたまらない。新しいアニメの絵面と新しいフォントの字面との調和は、想像した以上にうまくいっていたように感じられた。まずはひと安心である。

『アルドノア・ゼロ』については、有馬トモユキさんの熱のこもったデザイン活動を通じて見聞きしていた。思い返せば、TP明朝(当時開発名 AXIS明朝)を最初に発表した場「言葉のデザイン2010」の舞台裏で有馬さんは立ち働いていたのだった。そしていま、TP明朝の実質上のデビューに有馬さんが関わっておられることを静かに喜び、アルドノア・ゼロにかける人たちの熱の舞台の片すみに居合わせられたことを幸せに思う。