武蔵美今期の授業はついに最終日。学生たちは本当によくがんばった。この課題がいくらかでも将来の糧になることを心から願う。

大学時代の恩師の訃報に接す。三日前におこなった講義は、学生時代にその先生から教わった主題を初めて取り扱った内容だった。今ならもう少し気の利いた質問をできるかもしれないのに。

   月皓々なみなみと酒つぎたまへ

   いつまでも桔梗のまへを去りがたし    茶門

書体スケッチや思索メモなど。サミットで食材の買い出し。夕食は牡蠣と鱈の味噌鍋。食前に軽くチーズと白ワイン。

名古屋から自宅へ帰る途中、上野の国立博物館に立ち寄る。本館の特別展「書と紙」と常設展「日本美術の流れ」をじっくり味わう。お目当ての「継色紙」だけでなく、おとついの講義で強く推した「秋萩帖」と「夏秋草図屏風」を観ることができたのは幸運だった。

   平らかなやまとのうみに秋の雨    茶門

昨晩実家に泊まって今朝は6時起き。9時から愛知芸大で講義をおこない、そのあと課題制作について個別にアドバイス。授業後は先生たちと意見交換など。浪人時代にお世話になった美術研究所に立ち寄る。

快晴。昼は久しぶりに鳥よしへ。わりとお客さんが戻っているようで何より。英会話に行った足でそのまま名古屋に向かう。

それぞれ別のところでキラキラしていたものがじつは互いに照らし合っていて、より輝きを増していたことがわかってきた。繊細な文化の光を感じとるには、もっと心を開き、目を凝らして見ないといけない。

午前中は武蔵美で授業。前期授業はすべてオンラインだったのできょうが初対面となる。9月から出校している学生たちがふつうに打ちとけあっているのを見て安心した。活版実習は担当の先生にお任せして、私は主に課題のアドバイス。

   雨おとに秋のいろ濃きわび住い    茶門

今年前半は漢字のブラッシュアップに集中し、後半は仮名にどっぷり浸かっている。これだけ名品の鑑賞と制作の時間を持てたのは初めてかもしれない。

和様とひらがなに関する講義用のスライドがおおよそ出来た。あっちこっちに話がいかないよう図版を3割ほど削った。結語は「結んで、開いて」。夕食はスンドゥブ。

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