たまっていた書類を読み、もろもろの所用を片付ける週末。カルボナーラとアイスコーヒー。

きのう描いた太いウエイトの姫かながちょっと味気なくて、ある書体カテゴリーのエッセンスを少々加えてみることにした。定石にはないアプローチだが、もともと正解のない問いに形を与える類いの仕事なので、試す前から腰が引けていたのでは話にならない。

金シャチ姫かな50音のいちばん細いウエイトが70%くらいの完成度でだいたい揃った。改善点や問題点をあきらかにするために、これから太いウエイトに入る。細いひらがなは、手本にできる平安古筆のサンプルが豊富にあるが、はたして太いほうはどうしたものか。

形がまとまらない仮名は別バージョンをつくって比較検討をおこなう。私の場合、別バージョンをつくるときはスケッチを新たに書き起こしたほうがやりやすい。若い人の意見も参考に。

武蔵美の前期授業終了。戻って定例ミーティング、そのあと各プロジェクトの日程調整と進め方について話し合い。自宅でひらがな制作。

週末に進めたひらがなのラフスケッチの続きを行う。活字書体として使用できるところに至るまでまだかなりの距離がある。いまは材料の吟味と素材の下ごしらえという感じ。午後からスケッチを元に原字のデッサンとアウトライン取り。

映画化が決まってから公開を待ちわびていた『メッセージ』を観る。SF映画で言語学者が主人公、意味図示文字による地球外生命とのコミュニケーションという設定だけでツボのど真んなか。テッド・チャンの短編集が素晴らしすぎることがだけが気がかりだったが、ラスト5分で嗚咽級の落涙。原作のテッド・チャンと監督のドゥニ・ヴィルヌーヴともに1967年生まれ。

Airのトラックパッドで仮名を描いてたら一週間で右手の腱がおかしくなった。これはいかん。会社の作業はデスクトップマシンで、自宅ではAirにマウスを付けて作業をすることにした。

午前中は高野切をかたわらに金シャチ姫かなの原字デッサン。アウトライン取り一発目の時点ではまったく使いものにならないが、ていねいに形や細部を整えていくと、あるところから急に「けっこういけるかも」に変わる。ここが書体デザインの面白いところ。

午前中から昼にかけて原字のデッサン。墨入れなしでスキャンしてアウトライン取り。原字をしっかり描いておいても、スキャンしたあとの作業でかなり表情が変わるので、鉛筆デッサンていどの状態で次の工程に移る。

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