東北大地震から五年が経った。きのうは東京大空襲のなかで最大規模と言われる空襲があった日だ。きょうはスタッフの有給休暇が重なって出勤したのは三人だけ。いつも静かなのでふだんと変わったところはない。平穏無事に感謝しつつ、平和がもろくこわれやすいものであることは忘れないようにしたい。

テスト用の仮名制作。変則的なファミリー構成なので、ひらがなの大きさと太さを漢字に合わせるという一見単純な作業にとまどっている。某大学との連絡やり取りなど。夜はアジの開きと辛子明太子。

懸案だった案件がひとつまとまりそう。展開が見えないだけに将来性に期待したいところ。エンジニアと簡易ツールに関するやり取り。いい感じにまとまってきた。こちらも今後の展開が楽しみだ。夕食は自家製チャーシュー。

早朝からエンジンをかけ、ひらがなの試作を進める。想定している設計方針ですべての仮名をつくりきれるか分からないため、ひと文字ごとに悩む箇所が出てくる。

ゆく人をすいよせ夜のしだれ梅    茶門

書体の用途設定は大切なポイントには違いないが、次の段階として、書体の真骨頂を見つけだす作業は同じくらい重要で難しい。前者はあるていど定型化された枠組みが存在するが、後者は、探索と直観を駆使したうえでなお偶然によるところが大きい。それだけに、多様な背景と無数の組合わせから、書体が特別に輝いてみえる状況に出くわしたときは、思わず「ほー」と感嘆し手が止まる。

朝サンドイッチ、昼ドリア、夜おでん。いずれも標準的な具材と味つけである。家の食事は、そういう素朴さこそがうれしい。読書三昧。

試作書体のサンプルを眺めながら、次にとるべき道を検討する。和と漢、どちらを主に据えるのか。和と漢、きわを立たせるのか、なじませるのか。いずれも程度の問題ではあるにせよ、日本語書体をつくるうえで避けては通れないテーマである。

先行例が見あたらないものの試作はとりわけ重要で、漠然と考えていたことがあきらかになるだけでなく、一つひとつの試みの結果がさまざまな副産物をもたらしてくれる。すぐ役に立つわけではないが、原石をカットする新しい技法を見つけたくらいの価値を感じることもある。

収益面での安定性には欠けるものの、良いタイミングで面白い話が舞い込んでくる。中堅はもちろんのこと若手にも仕事を割り振っていきたいところだが、平行して作業を進めてもらうほどの余裕がない。手際よく高い品質の仕事を仕上げる経験を積めば積むほど好い循環が生まれる。結果を真摯に受け止めて臨む次の仕事が、人を育て、書体を育てる。

開発中フォントの磨き上げをいったん打ち止めにして、ファミリー展開のテストに入る。内部的には意義のある取り組みになるはずだが、実用性の面で確信が持てないため、まずは少字数つくってみて使いごこちを試してみたい。

<< BACKNEXT >>