書体の用途設定は大切なポイントには違いないが、次の段階として、書体の真骨頂を見つけだす作業は同じくらい重要で難しい。前者はあるていど定型化された枠組みが存在するが、後者は、探索と直観を駆使したうえでなお偶然によるところが大きい。それだけに、多様な背景と無数の組合わせから、書体が特別に輝いてみえる状況に出くわしたときは、思わず「ほー」と感嘆し手が止まる。