漢字の研磨とトークイベントの準備。すこし変わった趣向の対談になりそうなので、双方のプレゼン内容が決まったら、顔を合わせてリハーサルしたほうがいいかもしれない。夜は自宅で好物のエビチリ。

フィットフォントの認知は思ったほど進んでいないようだが、ぼちぼち問い合わせが入ってきている。要望が一様でないため対応方法もまちまちで、話を整理してまとめるのがまず大変。デザインに入るまえの段階でこれだもの、日本でカスタムフォントが増えないわけだ。

世界のブックデザイン2014-2015』展のメモ。日本、中国、オーストリアなど一部の国を除き、使用フォントのクレジットが戻り、欧文フォントの見分け能力が低い私にとっては非常に有り難い。本はすべて手にとって見ることができる。展示会は今月28日まで。入場無料。

以下括弧内は私の感想。併置したフォントは、同じ書籍内で本文と見出しの関係にあるもの。日本であまり認知されていないフォントにはリンクしておいた。ただし、書籍で使用されたフォントと完全に同一かどうかは保証のかぎりではない。

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◉カナダ(古典的なローマン体がとても多かった。Mrs.Eavesはあらためて見るとなかなかチャーミング)
Scala Sans
Arnhem
Quadraat
Rialto
Mrs.Eaves

◉ドイツ(やはりTriniteは良いフォント。AGで組んだ『just one chair』の図版選択が素晴らしかったので迷わず購入)
Miller
Apex
FF Nexus Mix
Adobe Garamond
Bulmer
Trinite
AG Book Pro R, M(アクチデンツ グロテスク)
Stanley
Greta Text

◉日本(毎年のことながら審査基準がよく分からない。『ふしぎなにじ』は、二年前の愛知芸大の卒展に並んだ作品)
モーション シルエット』梶原恵、新島龍彦(世界でもっとも美しい本2015 銅賞)
ふしぎなにじ かがみのえほん』わたなべちなつ(審査委員賞)

◉スイス(昔も今も堅牢なゴシックを選ぶ傾向が強い。紙の選択も含め手触り感が持ち味)
Helvetica Neue
Univers 55
Times LT
Arial Narrow
Monotype Grotesque Text
Unica, Gill Sans

◉オランダ(DTLのような地元タイプファウンドリーのフォントが選ばれているのとともに、書体選択が多様。これもひとつのお国柄だろう)
Hoefler Text
Filosofia
DTL Documenta
FF Meta
Stanley
Arial Narrow
Plantin
Atlas Grotesk
ITC Jonston
Rijksmuseum
DTL Antares, Trajan Pro
DTL Paradox, FF Quadraat
Fugue
ITC Franklin Gothic Condensed
Univers
Plain
Neue Helvetica
Caponi Slab

◉デンマーク(Commercial Typeをはじめ、Klim Type Foundry, Hoefler, Unger, Typothequeなど、小規模タイプファウンドリーの活躍がうれしい)
Caslon Pro
Indigo
Ideal Sans
Goethe Title
Swift
Lyon
Newzald
Bell MT, Gotham
ITC Galliard
Mercury
Calibre, Tiempos
Minion, Fedra Sans
Helvetica Neue

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以上、会場で本を手にとってフォントの種類とその効果をご覧ください。日本語フォントの今後を考える良い機会になると思います。

火曜朝の定例ミーティング。各プロジェクトを粛々と進める。ツールの進捗を確認するため、稼働しているところを見せてもらう。各段階を踏んで、実用から応用へと向かいたい。漢字の品質向上作業と原稿草案のチェックなど。

新規案件が一歩前進。中規模の発注は経営面でこころづよい。終日ひきこもって漢字と仮名のブラッシュアップ。組版サンプルを随時作成して、仕上がり具合を確認する。

息子が修学旅行のおみやげで買ってきてくれた沖縄そばを食べる。妻が前日に仕込んでおいた特大のソーキ肉を投入し、ゴージャスな昼食となった。食後に沖縄みやげの紫芋タルト。きょうはちょっとした沖縄フェアである。外は23度を超える気温で、きのうから生暖かい風が吹きすさんでいる。

ちびた筆ごときかしらを春嵐    茶門

久しぶりにバスに乗って吉祥寺へ。北口にある古書「百年」は開店してちょうど10年、南口の古本センターはもう30年になるという。どちらも魅力的な棚をつくっていて見飽きない。本棚こそ、読書の遍歴と編集された今が映し出された一冊の書物である。

きょうは有給などでスタッフ5人がお休み。午前中は仮名の詰めシートに赤入れ、午後から買い物と会合に出かけ、夕方は池袋にて会食。今田欣一さんから復刻書体についていろいろ話を伺う。北京にある国家図書館と同じ敷地内に典籍博物館ができたそうで、いずれ行ってみたいところである。

昨晩は丸の内でアドビ時代の先輩同僚と会食。みなさんお元気そうでなによりだった。深酒にかこつけ深更の読書延々。

新製品のベータテスト的な相談を関係各所に送る。この製品は、これまでとは異なるルートを使い、これまでとは異なるメッセージを発信することになるはずだ。新たな開発と新たな開拓は、本質的な部分でつながっているものである。

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