最後まで観ないかもしれないなと思いつつ観はじめた『かぐや姫の物語』。まずは絵の力で物語に引き込まれ、しだいに感情移入の度合いが高まって、物語後半ではもう涙を抑えることができなかった。ジブリ映画を繰り返し観ることはほとんどないが、このアニメーションはまたいつか思い出して観たくなるような気がしている。

午前中に目黒で対談。言語化するのがむずかしいテーマだけに、適切なことばを見つけるのに苦心する。会心のフレーズが相手の口から発せられると、にわかにその場が活気づく。対談の醍醐味はこういうライブ感にある。

夕方来客があり、新規プロジェクトのきっかけになりうる構想について相談を受ける。目指すべき理想は共有できそうだ。現実面としては、窓口を誰にするか、プラットフォームをどこに置くかという点が課題になってくるだろう。まずはかぎられた時間のなかで、何をどこまでできるか考えたい。

次の計画を実現するための準備を粛々と進める。すこし渋めのところを狙ったプロジェクト。この仕込みの面白さが分かるのは、もうひとつ先のアイデアにつながってからになるだろう。

午前中は漢字制作に集中。午後から渋谷某オフィスにて対談。二人とも奥の方や先の方に関心が向いているため、かなり気をつけていても話題が彼方へ展開してしまう。説明するのがむずかしい重要なことがらは、平易に話す工夫をどれだけしても十分ということはありえない。分かりにくさを放置する代償は意外なほど大きいものである。

直井さんと小竹さんと矢崎君が入社してもうすぐ一年になる。それぞれの個性を活かしつつ、この仕事に欠かせない忍耐力と勤勉さで日々の業務を支えてくれている。組織としての安定度が増してきた一方で、チームとしての緊張感を失わないようにしなければいけない。そのためには、まず私自身が挑戦する姿勢を保ち続け、チームを鼓舞する役目を果たさなければならない。

とぎれとぎれに本を読み、とりとめもない思いつきをノートに書きつける。最初は単なる思いつきにすぎないが、アイデアを更新し続けることで筋の良し悪しがすこしずつ見えてくる。

文字の美』展を観るために午後から日本民藝館へ。特別展より併設展に見ごたえあり。ふだんづかいの品々が、古びながら徐々に表情を変えるという物本来のありように見とれる。いまの日本にどうつなげるのかという大きな課題はありながらも、ものづくりに携わる人にとって学ぶところの多い文化資源が、これほど豊かにそろっているのは本当にありがたい。文字好きの人には、館内のあちこちに飾られている漢代の石碑や北魏の摩崖碑の拓がおすすめ。

タイププロジェクトの動向を気にかけてくれている某社のアートディレクターと会食。フォント業界への提言、Webサイトに対するアドバイス、都市フォントにかける期待など、建設的な意見をいろいろ伺う。

サイトの打ち合わせが終わったあと、来年度の組織体勢について検討する。変化ではなく、強化という観点から意見を出し合い、応募者への返信を行なう。半日漢字制作。

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