行きつけの定食屋で「きょうはお出かけですか」と声をかけられた。いつもラフな格好をしているので、ほんの少し身なりがちゃんとしているだけで見破られる。きょうは煮込みハンバーグのチーズのせに惹かれつつ、えいやで選んだ梅おろしトンカツがいつも通り美味しかった。毎日異なる5種類の日替わり定食は本当にありがたい。腹と心が満たされてお出かけ先の高円寺へ。

眼科で検診を受けてドライアイによく効く点眼薬を処方してもらう。書体デザイナーの強い味方。背脂がたっぷり入った味噌ラーメンを食べて仕事場に戻る。漢字制作。

組版サンプルを作成し、改善したフォントのベータ版を確認する。修正した部分はおおむね良好な結果につながっているようだ。書体のアイデンティティを保ったまま修正を加えるという玄人好みの仕事は、過去に何度かロゴタイプで同じような経験をしているが、フォントの分野でたしかな手ごたえを得たのは収穫である。

簡単なはずなのに毎度てこずる確定申告書の作成ページ。予想通りすったもんだしながら作り終える。デザインの概念が存在しない分野にこそデザインによる飛躍的な効果が見込めるものだが、これについては制度と手順の設計を見直さないかぎりほとんど意味をなさないだろう。

二夜連続で『宇宙兄弟』がネタになっていると思われる夢をみたので散髪に行くことにした。ライトアフロなムッちゃんからいっきにヒビトくらいまで刈り込んだ。宇宙兄弟を知っている人には分かると思うが、父と母をまえにアフロ頭の私が不合格を告げる夢である。あれから二十五年が経とうとしているのに、まだあの悪夢から逃れられないとは。迷惑をかけた人たちに顔向けできるよう頑張らねばという当時の思いが、心のどこかに残っているのかもしれない。

朝起きて鏡を見たらものすごいアフロになっていて、え、何これイタズラ?と思いながらアフロをなでていたら目が覚めた。夢判断するまでもなく『宇宙兄弟』のせいだ。そして去年から髪を伸ばし放題にしている自分のせいだ。

諸案件の対応協議を半日。予定より早く担当分の漢字ができたので、流れにのってそのまま次の漢字群に移る。心身の好不調や制作のペースが書体の安定度に現れるため、適度な緊張感と集中力を維持して波の揺れ幅を抑える。タイプデザインにかぎっていえば、ハイテンションとハッタリは不要。

きょうのたこ焼きはサクとろ加減が絶妙で過去最高の出来。試しにつくったネギ塩ダレの味はいまひとつだったけど。午後からリブロ池袋の古本まつりへ。書体関連の資料を数点購入。

漢字をつくる手を休め、見積もり金額について協議する。砂をかんだ過去の経験をもとに、後顧(こうこ)の憂いなきよう、適切な条件と数字を見つけ出す。昼はガパオごはん、夜は明太子クリームのオムレツ。

デジタルディスプレイに明朝体って意外にかっこいいじゃんとか、明朝体じゃないとここは引き締まらないよね、という会話が増えることを願ってTP明朝を開発した。だからITmediaさんに取材してもらったTP明朝の記事に『アルドノア・ゼロ』がトリガーとなって、幅広い層から反響があったのは本当にうれしい。

ゴシック体はデジタル時代の寵児のような存在だが、ゴシック体一辺倒では味気ない。なんといっても明朝体は、ゴシック体の最高の相棒であり、頼りになる日本語書体の大黒柱なのだ。ていねいに磨けばまだまだ輝きを放つだろうし、姿を変えて別の書体に生まれ変わる可能性だってある。実を言えばそれは、書体の歴史に起こり続けてきたことでもある。

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