新しいルーターを調達して、ひとまずネットワークは復旧したが、重要な内部システムにアクセスできないため、しばらく旧来の方法でしのぐことにする。漢字制作。外はシャーベット状の雪が降っている。

設置して二年のルーターが突然死。外部との連絡はWiMAXを使っているマネージャーに任せて、プレゼン資料と漢字の制作に集中する。もちろんかえって仕事ははかどるわけで、なにがユビキタスかと。馬鹿馬鹿しいほど複雑な設定を行なわないと動かない機器に囲まれていて、どこがスマートライフかと。

製品とサービスを通じて社会をより良いものしたいと本気で考えている会社の、熱意ある担当者と仕事をするのは楽しい。こういう会社は当然のことながらブランドを大事にしているし、ブランドを支える要素としてフォントをなおざりにしない。こういう人たちと仕事をしているかぎりわれわれは、顧客に喜んでもらうことをビジネスの中心におくと自信をもって言うことができる。

複数のアイデアを有機的につなげるキーワードをめぐって本を読む。海外のサイトにもヒントを求め、関連記事をあたってみる。芋づる式学習は終わりがないぶん収穫も多い。

『なぜ世界でいま、「ハゲ」がクールなのか』という本がある。世界のことは知らないが、きょうの東京は風が強くて生えぎわが寒かった。夜はカレーを食べ、頭部をホットにする。

レタースペースの2階でTP明朝の開発背景について1時間ほどお話しをする。聞き手のスキルが高いため、いつもは脇道に逸れがちな私の説明も、きょうはレーンの中央を走ることができたような気がする。昼にやわらかロールキャベツを食べて、午後から漢字制作。

直井さんに作ってもらったTP明朝の組版サンプルをiPadで見たら、思いのほかきれいだったのでおどろいた。ふだん使っていないRetinaディスプレイだからという点も大きいが、適切な行間と行長、ほぼ全角のプレーンな組版によって、横組み用に開発したローコントラスト明朝の読みやすさが明快に示されている。同様のサンプルを自分で作っていたとしたら、この感銘はもっと小さかったはずだ。自分で作った料理を自分で食べるより、人に作ってもらった料理を食べるほうが美味しく感じるあの感覚に近い。

字画最多クラスの漢字群をつくる。手間はかかるが難しくはない。仮名デザインのフィードバックを受け、改善を図る。わずかな調整だが、文字に張りが出て良くなった。客観性と思い入れ、いずれも重要。作業においては迅速性と執拗さ、こちらも重要。

開発中ツールの最新版が届いたのでさっそく試してみる。これはいい。UIの改善は必須だが、重要な機能をひと通り動かせるようになり、思い描いてきたことの全体像が実感をともなって見えてきた。慌てず急がず、要所をしっかり見きわめて、しかるべき相手に打ち込みたい。

足元に陽が当たるよう場所を変えつつデザインチェック。ためしに出窓のところに座ってみると、なるほど猫の気持ちがよく分かるあたたかさ。幅と奥行きが足りれば座椅子を置きたいくらい。

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