武蔵美授業の初日。担当する1年生のクラス27人に、聴講の希望があった4年生の2人が加わることになった。文字、書体、活字、フォントって何だろうねという話から、持参してもらった雑誌、漫画、単行本を介して全員とコミュニケーションを図る。ファッション雑誌はときどき購読しているようだが、際立って人気の高いものはなく、みごとに趣味嗜好がばらけていた。Pinterestを使っている子は一人だけ。

使用しているSNSについて挙手してもらったら、LINEは9割以上の学生が、Twitterは6割から7割くらい、Facebookは3割ていどの使用率だった。少しおどろいたのは、6割以上の学生がiPhoneユーザーであるにも関わらず、Mac経験者 (1年生) が一人だけだったこと。スマホでだいたい事足りるという意識および生活様式が定着してからこの傾向に拍車がかかった。意外に多いなと感じたのは腕時計の使用率で、3割以上の学生が身につけている、もしくは持ち歩いているという事実である。

上の話をすべて合わせて考えてみると、つながり(ソーシャル)、やりとり(メッセージ)、見た目(ファッション)の3要素を凝縮したApple Watchがこの世代に受け入れられない理由は、実はほとんどないのではあるまいか。いずれ解消されるであろう価格面を除けば、盤石といえる製品なのかもしれない。

春泥をまたもひらめくふくらはぎ    茶門