新宿から箱根湯本・強羅を経由してポーラ美術館に行き、美術館専用書体の撮影に立ち会う。十年以上経過したいまも美しい状態が保たれていてうれしかった。駆け足で収蔵品を眺めるなかでもっとも心惹かれたのが横山操の「ベニス」である。水墨の技法がこれほど西洋の空気になじんでいる絵もめずらしいのではないか。単調きわまりない構図にもかかわらず、不思議に見飽きない。