読む人によって『編集王』のクライマックス場面は異なると思うが、わたしは『春と修羅』を引用したシーンに震えた。自分が関わっている学校の卒業制作を観た直後だったせいもある。以下その一節。
けれどもいまごろちゃうどおまへの年ごろで
おまへの素質と力をもってゐるものは
町と村との一万人のなかになら
おそらく五人はあるだらう
それらのひとのどの人もまたどのひとも
五年のあひだにそれを大抵無くすのだ
生活のためにけづられたり
自分でそれをなくすのだ
すべての才や力や材といふものは
ひとにとゞまるものでない
ひとさへひとにとゞまらぬ