直立二足歩行によって人類が手に入れた最大の武器が文字だとすれば、二足歩行の宿命ともいうべき病いは腰痛だろう。座業による文字づくりで腰を痛め、痛めた腰で文字をつくっていると、因果応報の四文字が頭にちらつく。以心伝心のテクノロジーが実現すれば、コミュニケーションのあり方は根底から変わるはずだが、そのとき人間の想像力や表象力が拡張するのか縮退するのか、おそらく、環境と身体がその鍵を握ることになるだろう。座ったままより歩いたほうが、すこしは腰も楽になる。