衝撃のラストからはや一ヶ月。『アルドノア・ゼロ』の多様なメディア展開を、主にグラフィックデザインの面から強力に推進した、有馬トモユキさんと瀬島卓也さんのインタビュー記事を公開した。「新しい形のコミュニケーションを設計したい」とまっすぐに語った有馬さん。「新しい王道とは、あとに続く人が出てくるということ」とさらりと言ってのけた瀬島さん。2014年に生まれたTP明朝が、2014年を舞台にしたTVアニメによって初めて多くの人の目にふれたことは、まったく想像していなかった展開だけに、私にとってはある意味衝撃のデビューであり、TP明朝にとっては、今まさに吹いている風を受けての船出となった。

インタビューのキーワードは、文句なしに「新しい王道」だろう。establishment(確立した体系)に正面から挑み、新たな例を提示しようという意気込みにおいて、大いに共感を覚えた。「新しい王道とは、あとに続く人が出てくるということ」に続く瀬島さんの言葉はこうだ。「そういう意味では、僕らのデザインが真似されるのは歓迎ですし、たくさんの人に追いかけてもらえることを願っています」

自動詞のestablishにはこんな意味がある。「植物が新しい場所に根づく、定着する」。新しい芽がたくさん育たねば、新しい風景がかたちづくられることはない。つまり、瀬島さんの発言は強がりではなく、あきらかに未来の風景に対する願望であると理解できる。