今度の書体開発に関しては、数値を参照する効果は予想以上だった。最後は目が頼りとはいえ自分の経験値に足をすくわれた部分が少なからずあったことを認めざるを得ない。くりかえし修正をおこなった漢字にはいくつかの傾向があり、これは定石と考えていた作り方がじつは思いこみだったことを示している。感覚が重要なのはいうまでもないが、方法的なアプローチが軽視されるようなことがあってはならない。堂々めぐりをやめて、別の角度からもっと文字に驚こうじゃないか。