写研の『文字に生きる』を読む。写植機というハードと書体というソフトが足並みを揃え、社会の要請に応えていくさまが見てとれる。1950年代から70年代にかけて飛躍をとげた頃の写研は、先見性や計画性よりも時代の変化に適応する能力に優れていたと考えられる。時代背景と技術的な必然性をともなって新しい書体が生み出されていた点も興味深い。