腰を落ち着けて読みたかった『アイデア』364号をようやく手に取る。清原悦志さんの端正な仕事ぶりは、氏が手がけた本を実際に見るほかないが、ページの余白と行間の美しさは図版からも伝わってくる。包むをテーマに日本各地で収集を続けた岡秀行の元で仕事をしていたことや、青年時代に俳人原石鼎の家に下宿をしていた詩人北園克衛を通じて、清原悦志氏の深いところに上質な日本が流れていたのではないかと私は想像している。原理的なアプローチだけではあの佇まいは生まれないだろう。