すぐれた本は劇場のようだ。読む者見る者を日常とは違った時間と空間にいざなってくれる。書物という劇場において書体は役者である。本の内容が中核にあるのはまちがいないが、書体の選び方と使い方で芝居の出来は左右される。そうしてみるとたしかに名優と名書体のありかたには似ているところがある。印刷博物館『世界のブックデザイン2012-13』最終日。たしかな質がそこにある。