国内で日本語フォントの知的財産権を保護する声が高まる一方、海外からは、フォントの権利すべてを譲渡すると共に、価格の低廉化および納期の短縮化を求める声が少なくない。我々は作業効率を上げるなど、開発費を下げる努力をしなければいけないし、ひるがえって言えば、海外の発注元や中間業者には日本語フォントの内実についてもっと理解を深めてもらいたいと願っている。両者のへだたりが簡単に解消するとは思えないが、理解の溝を埋める労を惜しんだ結果として、低価格・短納期の流れができてしまえば、書体品質の低下という事態はまぬがれえないだろう。加えて恐るべきは、その責任の重さとトラブルの後始末である。