今回は、片塩二朗著の『活字に憑かれた男たち』を紹介します。
昭和初期の日本を中心に、年号や国を跨ぎながら11人の活字版印刷に深く関わる人物を取り上げています。日本の活字文化の歴史を知るのにおすすめの一冊です。歴史の中で様々な活字が開発され、しかしせっかく揃えられた活字も、多くが戦禍を被り溶かされました。淡々とした歴史書ではなく、それぞれの人物にまつわるエピソードや当時の世情とともに歴史が語られています。入念な資料の読み解きやご家族を訪問するなど、徹底した取材があっての内容だと感じました。
印象に残っている小話は、明治初期の活字版印刷を担った集団に多くの徳川家臣がいたということです。言われてみれば納得の理由があるので気になった方はぜひ本書でお確かめください。
書籍情報:
『活字に憑かれた男たち』
著者:片塩二朗
発行:朗文堂
購入情報:
https://www.amazon.co.jp/dp/4800312744/ref=cm_sw_r_tw_dp_FWC5SYCKQ5NJPYDGKBE3
(担当T)
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