純明朝開発ストーリー1「骨格の特徴 その1」

純明朝・純明朝 ヘッドライン・純明朝 ヘアラインで漢字を担当した私は、仮名との関係や、どのような書体を目指すのか、書体の位置付け、新しいものにするにはどのような形になるのかを探りつつ制作を始めました。漢字筆画の細部ももちろんですが、それ以上に骨格に苦心しました。 制作当初から横組みを主眼に置き、縦組みでも実用性を持たせることが念頭にありました。特徴として、仮名はゆったりとした筆…

TPスカイ モダン Blk 開発ストーリー 03「実験!」

このシリーズの前回の記事で「漢字の試作で骨格や太さの調整をした」という話を紹介しましたが、試作段階では他にもさまざまな調整や実験がありました。例えば、字面率を数パーセント毎に刻んだサンプルです。最終的にはギリギリまで大きめの字面率を採用したので、モダンBlkをベタ組にすると文字と文字の間が狭くみっちり並びます。 他にも太さを意識した実験として、平体をかけたサンプルを作ってみたり…

TPスカイ モダン Blk 開発ストーリー 02「骨格・太さ」

TPスカイ モダン Blkの制作は、TPスカイ ローコントラスト Bから骨格を広げて筆画を太くする作業でした。画数の少ない漢字は骨格を広げるゆとりがあるのですが、画数の多い漢字は太い線が混み合うので筆画を動かす余地が限られています。両者が一つの組版の中に混在しても揃って見えるように試作を重ねながら骨格の広げ具合を調整しました。 スタンダードな和文書体の中では特に太いウエイトを目…

TPスカイ クラシック欧文開発ストーリー03「制作時にこだわった点」

TPスカイ クラシック欧文としてこだわった点は和文との見え方の調和です。今回はウエイトごとに和文とのなじみを調整し、x-heightを決めています。これはフトコロを引き締め、少し小さく見える和文に対して、欧文がバラバラに見えないようにするためです。様々な比率で検証し、より良い見え方を探り、製品版に至っています。古典的な骨格を持ちながら、落ち着つき、親しみやすい雰囲気をもつクラシ…

TPスカイ モダン Blk 開発ストーリー 01「モダン?」

私がTPスカイ モダン Blkに参加したばかりの頃によく考えていたのは「“モダン”ってなんだろう?」ということです。ひらがなや欧文の試作は既に出来ていて目指すところは示されていたのですが、それでも担当することになった漢字やカタカナをカタチにしていく上で“モダンな和文書体”のイメージが自分には足りないと感じていました。 というのは、デザイン・文字業界にモダンスタイルとカテゴライズ…

TPスカイ クラシック欧文開発ストーリー02「TPスカイ ベーシックとの比較」

TPスカイの欧文は比較的均一な字幅を持っています。一方でTPスカイ クラシックは古典的な骨格をベースとして持っているため、字幅の差があります。Bなどは引き締まり、Cなどは空間を大きくもったデザインになっています。また、小文字のx-heightを低くすることで和文のフトコロを引き締めるのと同様の効果でクラシックな雰囲気を出しています。単語で見ても変化はありますが、文章を組んだ時も…

TPスカイ クラシック欧文開発ストーリー01「TPスカイ クラシックの特徴」

TPスカイ クラシックはサンセリフ体の簡潔明快さと、古典的な楷書の端正さを合わせ持つ書体です。和文の中に含まれる欧文として、開発当初は文字の形の相性が良いものを制作することだけ意識していました。しかし、制作と検証を重ね、形としての相性だけではなく、欧文においても古典的な骨格、トラヤヌス帝の碑文等に見られる大文字、オールドローマン系のスタイルをクラシックの典拠として位置付けていま…

東京シティフォント開発ストーリー02「和文との調和」

和文はTPスカイローコントラストを採用しています。欧文のコンセプトとデザインがある程度固まったところで、和文との調和をとる作業が始まります。試作段階では欧文が小ぶりに見えたため、さまざまな大きさを試し、最適なサイズを探りました。 また、字幅の狭い文字に取り掛かった際には、そのまま欧文を組むと少し上がって見えてしまうという問題点がありました。それを解決するため、欧文を下げることで…

東京シティフォント開発ストーリー01「欧文デザインの特徴」

東京シティフォントは日本デザインセンターによる街区表示用書体として提供したことから始まりました。粋と言うテーマを中心に、程よい抑揚と少し長体で設計されたデザインを一つの答えとしています。その後、製品版にする際に今までの重要なテーマである交通機関などのサインに加えて、東京の建築群との相性を考慮したデザインを新たに制作しています。 全体的にジオメトリックな雰囲気を持ち、外側はやわら…