21.09.27シリーズその他 / 機械学習と書体

機械学習と書体02「機械学習を用いた書体デザイン」

※ 本記事はATypI 2019 Tokyoでの発表を元に作成しています。(https://www.youtube.com/watch?v=va0NnxdgrqA) CJK フォントの開発のために機械学習を用いて、書体デザインを自動的に行う研究がいくつかあります。それらの手法では数文字のデザインだけを書体デザイナーが行い、その他の全ての文字を機械学習により自動的にデザインします…

東京シティフォント開発ストーリー01「欧文デザインの特徴」

東京シティフォントは日本デザインセンターによる街区表示用書体として提供したことから始まりました。粋と言うテーマを中心に、程よい抑揚と少し長体で設計されたデザインを一つの答えとしています。その後、製品版にする際に今までの重要なテーマである交通機関などのサインに加えて、東京の建築群との相性を考慮したデザインを新たに制作しています。 全体的にジオメトリックな雰囲気を持ち、外側はやわら…

今月の一冊(2021年9月)『漢字とカタカナとひらがな-日本語表記の歴史-』

今回は、今野真二著の『漢字とカタカナとひらがな-日本語表記の歴史-』をご紹介します。 日本語表記が現代の漢字仮名交じりに至るまでの紆余曲折を、様々な歴史資料から読み解いていく内容です。古墳時代の銅鏡に始まり『古事記』『万葉集』『平家物語』など誰もが知るような資料も扱われ、日本語学者である著者がそれらの表記をじっくりと細かく観察していきます。 私が特に興味が惹かれたのは書体に注目…

漢字・ひらがな・カタカナの組版04「分かち書きをしない」

日本語では英語やその他の言語で用いられる「分かち書き」をしません。「分かち書き」とは、ワードスペース(空白)で語句の区切りを示すことです。日本語でこれと似た機能を担うのは「漢字仮名交じり」です。漢字・ひらがな・カタカナは表記上の役目に違いがあり、この3字種を使い分ることで語句の区切りも示します。図に①~④の全て同じ発音になり同じ意味を表す文章を用意しました。この中で④の漢字仮名…

21.09.09シリーズその他 / 機械学習と書体

機械学習と書体01「機械学習と書体開発」

※ 本記事はATypI 2019 Tokyoでの発表を元に作成しています。(https://www.youtube.com/watch?v=va0NnxdgrqA) 人工知能や AI というワードをよく見かけますが、これらに使われている技術が機械学習という手法です。現在、この機械学習を書体開発にも活用するために、世界中で研究が進められています。 書体開発の過程の中で機械学習が活…

欧文イタリック03「イタリックのデザイン」

イタリックのデザインは正体をほぼ機械的に傾けた様なものから、正体よりもかなり有機的で動きのあるものまで様々で、書体の用途や想定する使用場面によって正体とイタリックのデザイン差の大小が異なります。 本文用書体の正体は長文で組まれることを想定している為、デザイン性よりも読みやすさが優先されることが多いですが、イタリックは数文字から数行程度の量で組まれることが多く、デザインの自由度も…

漢字・ひらがな・カタカナの組版03「漢字が多い」

文章中に多いのは仮名ですが、文字の種類が多いのは漢字です。日本の義務教育では2000字ほどの漢字を習います。なおかつ、様々なシーンで使われるフォントはさらに多くの漢字が必要です。例えばタイププロジェクトの多くのフォントも該当する文字セット「StdN(スタンダード版)」では全体が9500字ほどで、そのうち約7000字の漢字が収録されます。 (担当T)