23.06.26シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『時代をひらく書体をつくる。』 今回は、雪朱里著の『時代をひらく書体をつくる。 書体設計士・橋本和夫に聞く 活字・写植・デジタルフォントデザインの舞台裏』を紹介します。 本書は、活字・写植・デジタルフォントの三世代に渡って書体を制作、監修し、重要な部分を築いてきた橋本和夫さんのインタビューを通して日本語書体の流れについて触れられる内容になっています。 橋本さんが携わり、各時代を取り巻く環境のもとで作られ使われ…
23.05.22シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『江戸の瓦版-庶民を熱狂させたメディアの正体-』 今回は、森田健司著の『江戸の瓦版-庶民を熱狂させたメディアの正体-』を紹介します。 売り子は顔を隠し、作り手の名前もわからない。「瓦版」はそんな怪しげな非合法の印刷物でしたが、江戸から明治にかけて庶民を夢中にさせました。本書ではその瓦版の出版事情や実際に注目された記事が紹介されています。 瓦版はただ無機質に事実を報道するのではなく、分かりやすく面白くニュースを編集して伝えること…
23.04.17シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『書体を創る』 今回は、林隆男著の『書体を創る 林隆男タイプフェイス論集』を紹介します。 本書はタイプバンクの創立者、林隆男さんの追悼として刊行された一冊です。雑誌などに寄稿された書体に関する林さんの論文やインタビューと、親交の深かったデザイナーなど数々の人物から林さんへ寄せられた文章で構成されています。 論集は、フォントの基礎、書体の保護について、またデザインの側面からのみならず、印刷など出…
23.03.27シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『文字の文化史』 今回は、藤枝晃著の『文字の文化史』を紹介します。 本書には象形文字から始まり漢字の誕生、印刷に至るまでの歴史や書体の変遷が書かれています。写経など貴重な図版も豊富です。 皇帝の文字、臣下の文字など現在までに生まれた書体がどのような立場の人のためのもので、その限られた人のものから万人のものになるまでの経緯は興味深かったです。 文字の造形や筆法にのみ焦点を当てたものではなく、筆など…
23.01.23シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から「明朝体の歴史」 今回は、竹村真一著の『明朝体の歴史』を紹介します。 本書は紙や布についてや印刷の起源から始まり、文字や書体の変遷、中国での明朝体の発生にいたるまでの経緯、そして日本に伝わって定着するまでの過程がまとめられています。 楷書が変形してどのように明朝体になっていったかについての章では、版下となる書かれた文字と書いた人に対する気持ちや、書道的な持ち味を捨てられずに残った楷書の筆跡が明朝…
22.11.22シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『祈りの文字』『町まちの文字』 今回は、蓜島庸二著の『町まちの文字』と『祈りの文字』を紹介します。 『町まちの文字』は看板や暖簾、『祈りの文字』は扁額やお札など、たくさんの写真と共に筆者やその知人が訪ねた文字が紹介された本です。 『町まちの文字』『祈りの文字』を合冊・再編集した『町まちの文字 完全版』もあります。 『町まちの文字』は「ちょうちん屋復権ー序にかえてー」というテキストから始まりました。書道で一気に…
22.08.22シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『江戸の本づくし-黄表紙で読む江戸の出版事情-』 今回は、鈴木俊幸著の『江戸の本づくし-黄表紙で読む江戸の出版事情-』を紹介します。山東京伝作の『御存商売物(ごぞんじのしょうばいもの)』を読みながら、江戸の出版事情を解説する内容です。 『御存商売物』は江戸時代に出版された黄表紙(大人向けの読み物、絵本)で「通」な読者へ向けた小ネタが満載、私の所感でまとめると出版物擬人化ラブコメディです。当時の絵本「青本」「赤本」「黒本」や、浮…
22.07.11シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『印刷・紙づくりを支えてきた34人の名工の肖像』 今回は、雪朱里著の『印刷・紙づくりを支えてきた34人の名工の肖像』を紹介します。 以前紹介した『書体が生まれる』の中にも出てきた人物が取り上げられていることや、本書で紹介されている職人や技術者が辿ってきた時代や仕事と、自分の携わっている書体デザインに引き寄せてものづくりや仕事について考えてみたいと思い選書しました。 本書は活字、印刷加工や紙づくりを支えてきた職人や技術者へのイン…
22.05.23シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『日本レタリング史』 今回は谷峯藏 著の『日本レタリング史』を紹介します。 寺社扁額の構成書体(タイポグラフィ)さまざま、和様書流の系譜、江戸期各職域のタイポグラフィ、の三章立てで日本のレタリング史について書かれた本です。 巻頭にたっぷりと掲載されている扁額の書跡が、この本を読もうと思ったきっかけでした。個人的に意外で新鮮に感じたのは、楷書や行書の代表作で知られる平安時代の能筆家が、扁額で…
22.04.25シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『ジョンストンのロンドン地下鉄書体』 今回は、ジャスティン・ハウズ著、後藤吉郎 翻訳の『ジョンストンのロンドン地下鉄書体』を紹介します。 1916年にロンドン交通局のために制作された地下鉄書体のジョンストン・サンズ。本書は書体を制作したエドワード・ジョンストンの功績や書体の制作過程、ブルズアイのロゴやリデザインされたニュー・ジョンストンについてなど豊富な資料とともに紹介、解説されています。 試行錯誤していくつも書か…
22.02.28シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『文字の美・文字の力』 今回は、杉浦康平編の「文字の美・文字の力」を紹介します。 この本にはアジア圏の様々な文字意匠がまとめられています。韓国の文字絵、京都の「大」文字焼きや、「壽」を印した中国の隈取り、クメールの男性の肌に広がる文字護符の文身など。筆者のアジア文字研究の資料の中から選ばれて掲載された文字意匠は、80点に及びます。 本書は、それらの文字意匠を特徴ごとに分けた5つの章で構成されています。…
22.01.31シリーズおすすめの一冊 / TPの書庫から TPの書庫から『されど鉄道文字』 今回は、中西あきこ著の『されど鉄道文字 駅名標から広がる世界』をご紹介します。 日ごろ電車を利用する中で欠かせない案内や駅名の表示に使用されている書体が、どのようにして選ばれたのか気になりました。タイププロジェクトのAXIS Fontも西武鉄道のサインシステムに使用されており、本書で言及されている鉄道で使われてきた旧い文字から現在までのつながりに興味を持ち選書しました。 職人に…