今回は、永原康史著の『[新デザインガイド]日本語のデザイン』を紹介します。
この本では、日本語のデザインはどういう流れがあって現代に至るのかを知ることができます。日本語に文字がない頃からはじまり、書体、テキスト内容、紙面構成、読者層、印刷技術、などさまざまな観点で日本語を見ていく内容です。
現代を生きる自分にはない感覚として面白かったのは、書体と内容の密接な関係です。政治や宗教に関するものは楷書で書かれ、文芸や生活に関するものはくずし字で書かれる、といった使い分けがかつてはあったと示されていました。その使い分けをしなくなり、明朝体とゴシック体が二大巨頭の現代組版に移り変わっていく経緯も明かされています。
日本語のデザインに関わる上での自分の立ち位置、日本語が失ったもの得たもの、これらを知る入り口としておすすめ一冊です。
書籍情報:
『[新デザインガイド]日本語のデザイン』
著者:永原康史
発行:美術出版社
購入情報:
https://amzn.asia/d/9Vc98cv
2024年に加筆修正版が発売されています。
書籍情報:
『日本語のデザイン 文字からみる視覚文化史』
著者:永原康史
発行:Book&Design
購入情報:
https://bookdesign.theshop.jp/items/84839734
(担当T)
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シリーズアーカイブ おすすめの一冊 / 今月の一冊
- 今月の一冊(2024年11月)『そこに文字が』
- 今月の一冊(2024年10月)『人間と文字』
- 今月の一冊(2024年 7月)『[新デザインガイド]日本語のデザイン』
- 今月の一冊(2024年4月)『明朝体活字 その起源と形成』
- 今月の一冊(2024年2月)「タイポさんぽ―路上の文字観察」
- 今月の一冊(2023年9月)『味岡伸太郎 書体講座』
- 今月の一冊(2023年7月)『活字に憑かれた男たち』
- 今月の一冊(2023年2月)『The Visual History of Type』
- 今月の一冊(2022年12月)『Reading Letters』
- 今月の一冊(2022年10月)『SANS SERIF』
- 今月の一冊(2022年6月)『「書体」が生まれる』
- 今月の一冊(2021年12月)『街で出会った欧文書体実例集 -THE FIELD GUIDE TO TYPOGRAPHY-』
- 今月の一冊(2021年11月)『デザインワークにすぐ役立つ欧文書体のルール』
- 今月の一冊(2021年10月)『タテ書きはことばの景色をつくる-タテヨコふたつの日本語がなぜ必要か?-』
- 今月の一冊(2021年9月)『漢字とカタカナとひらがな-日本語表記の歴史-』
- 今月の一冊(2021年8月)『Scripts: Elegant Lettering from Design’s Golden Age』