23.09.04シリーズ和文組版 / フォントの組版機能 フォントの組版機能10「分数の仲間(afrc/frac)」 OpenTypeフォントの分数には、2種類のスタイルが用意されています。ひとつは横線を使った「分数(afrc)」もうひとつが「スラッシュを用いた分数(frac)」です。 ProN版のAXIS Fontには、分母が2から12までの約分できない真分数と「0/3」と「1/100」が入っています。分子が0の「0/3」が入っている理由は、野球のピッチャーの投球回を表現するため。アウトを1…
23.07.31シリーズ和文組版 / フォントの組版機能 フォントの組版機能09「JIS90字形(jp90)」 図には2種類の「ちまた」という字を並べてみました。皆さん、なじみのある字はどちらでしょうか? 辞書に載っているのは、左のほうです。右は、一時期コンピュータでよく見られた形で、そのころは一部の雑誌や書籍でもこちらの形が使われていましたが、今ではもう、あまり見かけることはなくなりました。 現在タイププロジェクトが提供している日本語フォントは「AXIS Font ProN」「TP明朝…
23.04.10シリーズ和文組版 / フォントの組版機能 フォントの組版機能08「メトリクスカーニング」 メトリクスカーニングは、フォント内部の(フォントメーカーが設定した)情報に基づくカーニングです。和文のメトリクスカーニングでは、すでにプロポーショナルメトリクスが適用されていることを前提とした数値が設定されています。欧文はもともとプロポーショナルなので、直接カーニングを適用することが可能ですが、和文の場合、まずプロポーショナルにした上で特定の文字間をカーニングで調整するという二…
23.03.13シリーズ和文組版 / フォントの組版機能 フォントの組版機能07「カーニングのいろいろ」 特定の文字と文字の間の空きを調整するのが、カーニングです。InDesign/Illustratorのカーニングメニューには、和文等幅、メトリクス(Illustratorのバージョンによっては「自動」)、オプティカル、そして数値指定(手動)があります。 和文等幅は、ベタ組み用の設定です。ベタ組みの場合でも、欧文にはカーニングが効いて欲しいですよね。上図のカーニング0の例を見ると、…
23.02.13シリーズ和文組版 / フォントの組版機能 フォントの組版機能06「プロポーショナルメトリクス」 InDesign/Illustratorの[プロポーショナルメトリクス]は、フォントが持っている詰め組み用の字幅情報に基づいて文字を詰める機能です。 フィーチャー・タグは横組み用ならpaltで「Proportional Alternate Widths」を短縮したものです。わたしはpaltを「ぴーあると」と読みますが、英語っぽく「ぴーおると」と読む人もいます。「ぱると」も聞いた…
23.01.10シリーズ和文組版 / フォントの組版機能 フォントの組版機能05「Adobeアプリの〈文字ツメ〉」 InDesign/Illustratorには[文字ツメ]という機能があります。前回触れたトラッキングが一律詰めであるのに対して、[文字ツメ]では文字ごとに詰め量が変わります。 [文字ツメ]はパーセンテージで指定しますが、これは「サイドベアリングを何パーセント削るか」を意味しています。たとえば[文字ツメ]100%では、サイドベアリングを完全に削ります。これは前後の文字とバウンディ…
22.12.05シリーズ和文組版 / フォントの組版機能 フォントの組版機能04「どの詰め機能を使う?」 Adobe InDesign/Illustratorには、文字を詰めるのに使える機能がいろいろありますが、みなさんどれをよく使いますか? InDesignでは、文字パネルに[カーニング][トラッキング][文字ツメ]があり、[文字パネルメニュー>OpenType機能]に[プロポーショナルメトリクス]があります(Illustratorでは[OpenTypeパネル>プロポーショナルメ…
22.11.07シリーズ和文組版 / フォントの組版機能 フォントの組版機能03「詰め組みのしくみ」 前回、OpenTypeフィーチャーにはGPOS(グリフの位置を動かして調整する)とGSUB(グリフを置き換える)があるという話をしました。今回から数回にわたってGPOSについて説明します。 欧文フォントでは、カーニングに加えてアクセント記号などを適切な位置に配置するためにGPOSが使われますが、日本語フォントではGPOSは、主に詰め組みのために使われます。 詰め組みの話は少しや…
22.09.20シリーズ和文組版 / フォントの組版機能 フォントの組版機能02「GPOSとGSUB」 OpenTypeフィーチャーには、「グリフの位置を動かして調整するもの」と「グリフを置き換えるもの」があります。前者をGPOS、後者をGSUBと呼びます。GPOSはGlyph POSitioningの略で、日本語(?)では「じーぽす」と発音します。GSUBはGlyph SUBstitutionの略で、「じーさぶ」です。 図は、一般的なStdNフォントに実装されているGPOS/G…
22.08.30シリーズ和文組版 / フォントの組版機能 フォントの組版機能01「OpenTypeフィーチャーって何?」 たとえば「にゃー」という文字列を横組みにしたときと縦組みにしたときでは、小書きの「ゃ」と音引き「ー」の形が違っています。当たり前と言えば当たり前の挙動なので、普段あまり意識されることはないかもしれませんが、これもOpenTypeフィーチャーが実現していることのひとつです。 OpenTypeフィーチャーは、文字を読みやすく、あるいは美しく並べるために、OpenTypeフォントが内…