書体づくりの舞台裏:視覚調整01「空き部分の広さ」

このシリーズでは、書体づくりの視覚調整について紹介します。

今回は「田」を例に紹介します。

書体づくりの大まかなルールとして、「下側を広く」「右側を広く」なるように調整します。これは、人の目には下部より上部の方が、右より左の方が膨張して見える錯視を考慮しています。

シンプルな構造の「田」で説明します。

「田」という漢字は左右対象な形をしていますが、見た時に同じ大きさに見えるように、下側と右側をわざと大きく制作しています。空き部分を完全に同じ大きさで制作してしまうと、少し右側と下側が狭く見えてしまうためです。

この調整の有無は文字サイズの1%程度の違いですが、このようなわずかな差で、文字を見た時の印象は変わります。

書体づくりには、他にも線の太さや長さなどの視覚調整ポイントがあります。本シリーズの連載で、それら視覚調整のポイントを紹介していければと思います。

(NM)

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