TPの書庫から『江戸の瓦版-庶民を熱狂させたメディアの正体-』

今回は、森田健司著の『江戸の瓦版-庶民を熱狂させたメディアの正体-』を紹介します。

売り子は顔を隠し、作り手の名前もわからない。「瓦版」はそんな怪しげな非合法の印刷物でしたが、江戸から明治にかけて庶民を夢中にさせました。本書ではその瓦版の出版事情や実際に注目された記事が紹介されています。

瓦版はただ無機質に事実を報道するのではなく、分かりやすく面白くニュースを編集して伝えることで読者から愛されたメディアでした。多くの人に分かりやすく伝わるよう紙面構成に工夫を凝らしているのは、まさに当時のエディトリアルデザインであり興味深かったです。尖ったユーモアも魅力的で、虚構、不謹慎、政府批判と怒られかねない内容すら織り交ぜて笑いを提供していました。危険なほどのサービス精神に溢れた発信者と、よく話がわかる受信者、両者の絶妙なバランスで築かれた文化だったのだと思います。

書籍情報:
『江戸の瓦版-庶民を熱狂させたメディアの正体-』

著者:森田健司

発行:洋泉社

購入情報:
https://www.amazon.co.jp/dp/4800312744/ref=cm_sw_r_tw_dp_FWC5SYCKQ5NJPYDGKBE3


(担当T)

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