書体づくりの舞台裏:フォントの赤入れ02「S- S+、C- C+」

前回は簡略化した赤入れとしてW-とW+の紹介をしました。今回ももう少しアルファベットの赤入れを紹介していきます。 Sはサイズの意味で、S-なら「小さく」、S+なら「大きく」という指示です。単純に拡大縮小すると筆画の太さもいっしょに変わってしまうので、太さは変えずに骨格を小さくしたり大きくしたりするようなイメージで修正します。 「医」は文字全体を小さくという指示です。四角い文字は…

書体づくりの舞台裏:フォントの赤入れ01「新人へのチェック、W- W+」

タイププロジェクトでは、赤入れと修正を何度も繰り返してフォントの品質を高めていきます。今回からのシリーズでは、TPスカイファミリー制作時の資料からの赤入れをいくつか取り上げて、その指示内容を紹介していきます。 これは私が入社1年目の時、制作した漢字に先輩が赤入れをしてくれたものです。「紕」は偏と旁の間が狭いから糸偏の幅を狭くしてあいだを少し開けるように、「稱」は「冉」のカウンタ…

書体づくりの舞台裏:Instagram投稿より「フォントに含まれる様々な点」

今回はタイププロジェクトのInstagramから文字の「点」を集めた投稿の紹介です。「点」は文字の中の小さな要素ですが、それでもきちんとその書体らしさが出ています。 あつめた「点」は以下の5種類です。 「活」の一画目 「j」の点 「,」コンマ 「ぶ」の濁点 「ぷ」の半濁点 左は濱明朝 ディスプレイ H、右は金シャチフォント 姫 Bの点です。 濱明朝 ディスプレイはコンマの点から…

書体づくりの舞台裏「目玉」

弊社の以前の作業環境では、元データにエラーのあるグリフを「目玉」と呼ばれるアイコンへ置き換えてフォントを出力する設定がありました。一つ目の黒い球体に無数の枝か触手のようなものが生えたなんとも禍々しい姿をしています。視線を落としているのかこちらを見下ろしているのかわかりませんが、私にはこれが物言いた気な表情に見えなくもないのです。このデザインは、私たちを激励するための開発エンジニ…

書体づくりの舞台裏「豆腐」

表示できないテキストがあるとき代わりに表示される白い四角、これを無くすための戦いは古くから続けられていますが、それでもご覧になったことのある方は多いかと思います。この白い四角は見かけが似ているため「豆腐」と呼ばれることがあります。フォントによって違うデザインを設定できるので白い四角ではないこともあります。 AXIS Fontの場合「豆腐」は白抜きの四角にバツ印のデザインですが、…

書体づくりの舞台裏「Slackのカスタム絵文字作ってみた」

ビジネスチャットツール「Slack」では絵文字でのリアクション機能などがあり、デフォルトの絵文字に加えてカスタム絵文字を登録することができます。 「お願いします」「ありがとうございます」などのカスタム絵文字はちょっとした受け答えにも使えて便利です。しかし、小さな正方形にテキストを収めるため過度な長体変形がされているケースを目にします。そこで今回は、字幅のバリエーションが用意され…