フォントを作る人に聞いてみた その1:書体デザインに興味を持ったきっかけ2

前回の記事では書体デザインに興味を持ったきっかけについて、学生時代の授業にまつわるものを紹介しましたが、その他に書体デザイナーの回答の中に共通して出てきたキーワードは「レタリング・描き文字」です。

描き文字(これ、というきっかけはなく複合的なものですが)稲田茂の描き文字が好きで自分でも書くようになり、そこを入り口に書体デザインに興味を持ったと思います。

自分の名前のレタリングをした時。線一本の違いで文字の印象が変わることに感動したから。

私もレタリングを通して文字の造形に興味を持った後に書体デザインの存在を知ったので、手描き文字への興味の延長として書体デザインの道に進むと言うルートは珍しくないのかもしれません。

エンジニアからの回答では自身の以前のキャリアやパソコンのレンダリングを通してなど、書体デザインと繋がりのある別ジャンルから興味を持ったと言うものがありました。

ライターだったので、自分の書いた言葉の定着する場所としての文字に関心がありました。

中学生当時、Windows Vista が発表された頃でした。先代の XP に比べかなりリッチなデザインの OS だったため、当時流通していたマシンスペックでは動作が重くなることがありました。そのため、軽量化が時折話題になっており、そこで Ubuntu という OS に出会いました。フォントレンダリングが綺麗で、見た目の拡張性も高かったため、OS のカスタマイズを行うようになりました。その過程で様々なフォントと出会い、僕自身も作りはじめるうちに、書体制作やデザインに興味を持ちました。
レンダリングについて:Windows の ClearType というフォントレンダリング方式は、低解像度に対して非常に合理的なように思いましたが、私は普通のグレースケールレンダリングのほうが綺麗に感じていました。

今回の質問への回答を見て、文字自体を書いたり作ったりすることへの興味から入る人がいる一方で、文字を使う側としての興味から書体デザインにたどり着く人もいるということがわかりました。

私は初めから作る側としての興味が大きかったため使う側の視点を持つことがなかなか難しいのですが、実際に私たちが作った書体を使っている方達のお話も一度じっくり聞いてみたいなと改めて感じました。

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