フィットフォントの最も重要な特徴は、欧文フォントにぴったり合った日本語フォントを提供できるという点です。もちろん、このような用途でバリアブルフォントを利用することも可能でしょう。しかし、バリアブルフォントはフィットフォントの代わりにはなりません。フィットフォントは、フィッティングという目的に焦点を当てて開発されてきたからです。
異なる言語のフォントを組み合わせることをタイププロジェクトでは「フィッティング」と呼んでいます。タイププロジェクトのフォントライブラリの持つ多彩なパラメータが、欧文フォントと日本語フォントの理想的なフィッティングの基盤となっています。
AXIS Fontは、日本語フォントにコンデンス、コンプレスという字幅のバリエーション持ち込みました。TP明朝では、明朝体にコントラストという概念を導入しました。そしてTPスカイは、ウエイト軸に加え、字幅軸とコントラスト軸、フトコロ軸を持った日本で初めての書体ファミリーです。
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加えて、タイププロジェクトは2020年にTPスカイ モダン ブラックという極太書体をリリースしました。複雑で画数の多い文字を含む日本語フォントでは、欧文フォントのように極太のウエイトをデザインするのが難しいという問題がありました。欧文フォントの極太ウェイトのほとんどは日本語フォントの一番太いウェイトよりかなり太く黒みが強いです。このウェイトバリエーションの差が、和文欧文間でのフィッティングの大きな課題でした。しかし、TPスカイ モダン ブラックは、ふところを広げることで、極めて太いウエイトを実現した戦略的なプロダクトです。この極太ウェイトにより、欧文フォントファミリとのフィッティングの幅がさらに広がりました。
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