TPスカイ モダンには、最初に極太のウエイト「Black」の制作に参加し、その次に「UL」を制作しました。ウエイトの高低差が一番激しい移行だったと思います。
自分がBlackに参加したタイミングでは、漢字制作がかなり進んでおり、既に全体のデザインルールができている状態でした。TPスカイ モダンの雰囲気を掴みつつ、Black特有の制約と戦いながら制作に臨みます。
TPスカイ モダン Blackの開発ストーリーは、開発初期から携わっている先輩デザイナーの記事もありますので、ぜひそちらもご覧ください。
上記の記事にもあるとおり、Blackの制作は、TPスカイ ローコントラスト Bから骨格を広げて筆画を太くする作業でした。ベースになる文字から、モダンらしさを出すために差をしっかりつける必要があります。

まずは骨格を広げて「モダンらしくする」。 そしてできるだけ「太くする」。
けれど、ただ太くしたり、骨格を広げすぎて「筆画同士の隙間」が埋まってはいけません。 筆画同士の隙間や、筆画の太さの数値がある程度決まっています。

さらに、なるべく「筆画同士の太細の差を控えめに」調整します。 そしてTPスカイ ファミリーとしての「デザイン方針に合っているか」。 そしてそもそも「組んだ時に全体の黒みが揃っているか」。
筆画同士の隙間を確保すると骨格の広げ方にも限界があるし、文字を太くして対応しようとすると他の文字の太さと揃わないし……と、参加したばかりの頃は「あちらを立てればこちらが立たず」の状態によく陥っていました。
たくさんの漢字を制作していくと、他の文字の太さとの揃い方が分かるようになり、先輩からも「ここを優先的に太くすると全体がしっかり太く見えるよ」というような、線の効果的な太らせ方も教えてもらったおかげで、スムーズに制作できるようになりました。
(NM)