漢字・ひらがな・カタカナのデザイン04「肉付け」

明朝体は書籍の本文などでもよく使用される日本語組版でのスタンダートな書体です。その明朝体の漢字と仮名を見比べると、肉付けがずいぶん異なっています。もともと中国に起源がある明朝体は漢字だけの書体で、筆で書いた文字が木版印刷で効率的に彫刻できるよう整理されていったものが原形です。日本に輸入された後に別途用意された仮名は、筆で書いた楷書をベースに活字向けの調整をしたものでした。さらに欧文はローマン体を合わせました。この違いはそのまま定着していますが、現代では開発の段階から漢字・仮名・欧文を全て含んだひとつのフォントとしてデザインするようになりました。

そのような明朝体とは逆に、サンセリフ体であるAXIS FontやTPスカイは漢字・仮名・欧文その他記号類まで全て同じように肉付けされています。
異なる肉付けを組み合わせるのも、一貫した肉付けで揃えるのも、共存しているのが日本語組版の現在です。

(担当T)

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