漢字・ひらがな・カタカナのデザイン06「ツメ情報」

和文はどの文字も同じ大きさの仮想ボディにデザインするのが基本です。しかし文字の形は一字一字異なっているので組んだ際に文字間のアキがバラついてしまうことがあります。そのバラつき抑えるためにそれぞれの文字や文字同士の組み合わせに対して入れるのがツメ情報です。特に仮名は使用頻度が高く個々の形状にも差が出やすいので満遍なくツメ情報を入れます。対して漢字は文字数が膨大で使用頻度もまちまちなので、あまりツメ情報を入れない場合が多いです。漢字ももちろん個々の形状に差がありますが、フォント用のデザインとしては字面枠を意識してシルエットを揃える傾向があります。

またツメ情報を入れる文字や数値の多寡はフォントによって異なります。TPスカイのクラシックとモダンBlkは対照的な例です。クラシックは字面が小さめで仮名もそれぞれ仮名固有の形に近づけているのでツメ情報が多め、逆にモダンは字面が大きく文字ごとのシルエットも揃えているのでツメ情報は少なめになっています。和文組版では、仮想ボディを詰めたり開けたりせずに文字を並べる「ベタ組み」も積極的に使われるので、ツメ情報に頼らない文字デザインも重要なポイントです。

(担当T)

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