欧文イタリック07「傾ける文字・傾けない文字」

本シリーズの前回記事「イタリックの傾斜」では傾き具合がもたらす印象の差について書きましたが、今回はひとつのフォントの文字セットの中でどのグリフを傾けるのかについてお話ししたいと思います。

イタリックは横に傾いているデザインが一般的ですが、フォント内の全ての文字が傾いているというわけではありません。フォントに含まれているグリフをひとつひとつ見ていくと正体のままのデザインを保っているグリフもいくつかあることがあります。

どのグリフを傾けるのかというのはデザイナー個人の判断によるところも大きいです。A-zや数字などの基本的なグリフは傾いていることがほとんどですが、記号類の扱いについては書体によって様々です。数学記号(+=<>)など本文に登場してイタリックで組まれる頻度の低いグリフは傾けない選択をされることが多い印象があります。

会社としてルールを制定し、リリースするフォント全てにおいて傾斜させるグリフを揃えているところもある一方で、書体の用途によって柔軟に対応している会社もあります。フォント販売サイトのプレビューなどで色々な文字を入力して、書体ごとの違いを見てみるのも面白いかもしれません。

(XYZ)

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