漢字制作と部首04「意味から連想」

フォントの一文字一文字から作り手の気分を垣間見ることはなかなか無いかと思います。しかし多くの漢字はそれぞれ意味を持つため、私はその時作っている漢字から色々と連想してしまうことがあるのです。これは部首ごとにも傾向があり、例えば病垂れなら「痛疲痔」などちょっと気分が下がる文字が多く、「癒」もありますが制作においては要素が多くてバランスに気を遣う文字なのでどうにも癒しの時間にはならない矛盾を感じます。

木偏や草冠には「杉桜蕪」といった植物を表す文字があるので、花粉症の薬もらいに行こう、今年は花見できるかな、いまって蕪の時期だったけ、などと考えたりしています。そういえば、木偏って「椿榎楸柊」で四季が揃うんですよね、4文字とも作り終えた瞬間はささやかな達成感があります。魚偏は「鮪鯖鯛」のように魚の名前が多いのでお寿司食べたいな、などと思いながら作っています。

そういった思いつきはその日の夕飯になったり、タイププロジェクトのInstagramに載せる画像のアイデアになったりします。

(担当T)

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