漢字・ひらがな・カタカナのデザイン06「ツメ情報」

和文はどの文字も同じ大きさの仮想ボディにデザインするのが基本です。しかし文字の形は一字一字異なっているので組んだ際に文字間のアキがバラついてしまうことがあります。そのバラつき抑えるためにそれぞれの文字や文字同士の組み合わせに対して入れるのがツメ情報です。特に仮名は使用頻度が高く個々の形状にも差が出やすいので満遍なくツメ情報を入れます。対して漢字は文字数が膨大で使用頻度もまちまち…

漢字・ひらがな・カタカナのデザイン05「整合性」

1つの文字でも「筆画を繋げる・離す」といったいくつかのパターンが許容されていることがあります。広い目で見たときには優劣のない違いでも、フォント開発ではコンセプトに合った最適解を検討し、その上で近い要素の整合性をとっていく必要があります。 濱明朝と金シャチフォント 姫の仮名を図に用意しました。どちらも筆で書いたようなデザインですが、筆脈の表現に違いがあり、またフォント内では近い要…

漢字・ひらがな・カタカナのデザイン04「肉付け」

明朝体は書籍の本文などでもよく使用される日本語組版でのスタンダートな書体です。その明朝体の漢字と仮名を見比べると、肉付けがずいぶん異なっています。もともと中国に起源がある明朝体は漢字だけの書体で、筆で書いた文字が木版印刷で効率的に彫刻できるよう整理されていったものが原形です。日本に輸入された後に別途用意された仮名は、筆で書いた楷書をベースに活字向けの調整をしたものでした。さらに…

漢字・ひらがな・カタカナのデザイン03「太さ」

特に太いウェイトを制作する際の注意点として、筆画の太さ調整があります。漢字・ひらがな・カタカナの全ての筆画を数値的に同じ太さにしてもフォントは揃って見えません。 以前「字面」の回でも触れたように、仮名は漢字より画数が少なめでサイズも小さめです。そのため漢字と同じ太さにすると並んだ時に弱く見えてしまいます。付け加えて、この傾向はひらがなよりカタカナの方が強いです。逆に漢字は画数が…

漢字・ひらがな・カタカナのデザイン02「字面」

フォントの各グリフは「仮想ボディ」と呼ばれる四角い枠にデザインします。さらに和文グリフでは仮想ボディから一回り小さい枠「字面」を設定して、文字の大きさを揃える目安にします。この「字面」でも漢字と仮名で違いがあります。仮名は元々漢字の省略から成り立ったため画数が少めで内部の空間が広くなりやすく、漢字と同じ字面に合わせて作ると文字が大きく見えてしまいます。そのため、一般的には仮名の…

漢字・ひらがな・カタカナのデザイン01「骨格」

以前このブログでは「漢字・ひらがな・カタカナの組版」と題し3つの文字種を使った日本語表記の特徴を扱いました。 今回からは目線をデザイン作業に引き寄せ、3つの文字種の形状的な特徴や、複数の文字種を一揃いのフォントにするためにどの様な工夫をしているのか、全6回のシリーズでご紹介します。第1回目の今回のテーマは「骨格」です。漢字の骨格には「横画・縦画・点」などの要素があり、動きの違い…