約物とは、組版で使われる文字数字以外の記号類(句読点や括弧など)の総称です。このシリーズでは約物の中でも主に和文と一緒に制作するグリフの制作ポイントや小話を紹介していきます。今回は使用頻度の高い約物である句読点(。、)です。
テンこと読点(、)は仮名や漢字の点とデザインを合わせます。少し四角っぽいTP明朝 ローコントラストの点や、次の文字への筆脈を思わせる金シャチフォント 姫の点など、読点だけでもフォントの個性を感じられることがあります。
マルこと句点(。)は多くの場合、コンパスで書いたような正円でデザインされます。仮名や漢字には正円のパーツがないので、私は句点の形状を奇妙に感じることがあります。同じく半濁点(゜)も基本的に正円ですね。ご存知の方も多いかもしれませんが、日本語には長らく句読点や濁点半濁点がなく、現在のように使用されるのは明治時代になってからでした。仮名や漢字との歴史の違いに突然現れた正円の謎を解くカギがありそうです。
(担当T)