コーポレートフォントとブランディングフォント

株式会社TBSホールディングス/株式会社TBSテレビ

デザインセンターは、TBSの社内クリエイティブ部門で今回のブランディングに関する多くのデザインを担当しました。デザインセンターではロゴを始めとした番組デザイン、宣伝プロモーション、イベント、動画制作、社内資料、そして印刷物など、扱うデザインの範囲は多岐に渡ります。TBSでは、地上波やBS放送、ラジオ放送などのグループ会社ごと、サービスごとに異なるデザインのロゴを使用していましたが、今回のリブランディングを機に、ひとつのTBSブランドとして見せるため統一したロゴデザインを行うことにしました。同時に、社内資料や番組テロップなどのデザインも同じ見え方にしたいという希望がありました。

ロゴを作ることを目的としたフォントにはグラフィカルな要素が求められます。一方、資料や長文に使うフォントは読みやすさを重視する必要があります。TBSでは、このふたつの目的のために、ブランディング用のカスタムフォントとコーポレートフォントの導入を決め、それぞれ別の視点で選定しました。

コーポレートフォント

株式会社TBSテレビ
デザインセンター デザインマネジメント部 團野慎太郎氏

「たとえばディレクターなどデザイナーではない人が作る資料が同じ見え方になればと思っていました。それと、資料やテロップ、webサイトやデジタルサイネージなどのいろいろな媒体で統一感を持たせたいということもありました。今回、コーポレートフォントとして選ぶにあたり、より見やすく、デザインが洗練されつつも優しい印象という視点でAXIS Fontが良いと思いました。そして、AXIS Fontに合う明朝体も必要でした。」と、デザインセンター デザインマネジメント部の團野慎太郎氏は語ります。

こうして、AXISフィットフォントとTP明朝フィットフォントから、コーポレートフォントとして最適な数値のフォントが選ばれました。現在、TBSのコーポレートフォントとして「TBSゴシック TP」と「TBS明朝 TP」のそれぞれ2ウエイトが約3,700人のグループ社員のパソコンにプリインストールされ、社員用としてデザインセンターが提供するMicrosoft PowerPointやMicrosoft Wordのテンプレートでは「TBSゴシック TP」または「TBS明朝 TP」が使用フォントとして設定されています。

株式会社TBSホールディングス
総合プロモーションセンター部 次長 兼
デザインセンターデザインマネジメント部 松原貴明氏

総合プロモーションセンター兼デザインセンターの松原貴明氏は、「TBSでドキュメントを作るときの推奨フォントとしているのですが、その使用が徐々にではありますが増えてきていると実感しています。会社としてコーポレートフォントの導入は初めてなのですが、トーン&マナーを合わせるだけではなく、『フォントを統一することで会社の見え方が変わる』『TBSと名のつくオフィシャルなフォントがあることで、外向きの見え方が統一されていく』など、コーポレートフォントを使うことの意味が理解され始めていると感じています。」と語ります。

コーポレートフォントは、名刺、局内の看板、営業資料、投資家向け冊子などですでに使用が開始されています。また、Webサイトの会社情報ページと社内イントラサイト、ニュース動画配信、そして地上波の報道番組のテロップとしても使用されています。特にテロップでの使用は、デザインの統一感と合わせて、フォント選定というコスト面でも報道局から頼られていると言います。

「見え方がより安定してきたということと、書体を毎回選ぶ必要がなくなったことがコスト削減に繋がっています。報道番組は、朝から夜までいろいろな番組があるのですが、フォントによってデザインがバラけてしまうことがよくありました。それが、放送とWebで同じ見え方にできるのは、想定以上の効果です。リブランディングでTBSの青色を規定したこともあって、『ここはTBSのフォントで、TBSの青で』と多くの人が考えるようになり、デザインに対する意識が高まってきたと感じています。想定していた以上に細かなところでコーポレートフォントが使われているのに気づいて、こんなところまで……と感心しています。社内からは、とても読みやすいという声が届いています。」(團野慎太郎氏)

ブランディングフォント

TBSデザインセンターでは、TBSの新しいロゴタイプの仲間となるようなフォントをデザインすること、さらに日本語フォントと組み合わせてブランディング用フォントとして完成させる必要を感じていた際に、フィットフォントと出会ったと言います。

「グループ会社やいろいろなサービスのロゴを同じデザインにしたい、それを誰が作っても同じになるようにしたいと思っていましたので、ロゴを作ることを目的としたオリジナルフォントの開発を考えました。ある講演でタイププロジェクトの話を聞き、オリジナルの欧文フォントが作れるということ、フィットフォントで日本語部分をぴったり合わせてもらえるということを知りました。」(團野慎太郎氏)

原型となるオリジナルデザインの印象を損なわないこと、入力するだけでロゴ作成ができること、そして可読性という機能を備えていることなど、ブランディングフォントの開発にあたりいくつかの条件がありました。日本語部分に関しては、オリジナルの欧文フォントと相性が良いこと、記号類やウエイトが充実していることも重要な点でした。

タイププロジェクトは、欧文フォントを新規開発し、和文部はAXISフィットフォントで最適な数値を設定したブランディングフォント、「TBS Sans TP」の6ウエイトも提供しています。

「オリジナル欧文フォントを最初に見た時は、少し驚きました。デザインの原型を渡す時に、ある程度完成しているつもりでしたが、細かいところを修正いただいたことで、フォントとして完成していなかったことに気づきました。実際に使い始めると、入力するだけですぐにロゴとして使える機能性に感動して、何にでも使えるという手応えを感じました。」(團野慎太郎氏)

フォントデザインでは、文字の黒い部分に加えて白い空間を見る。#1は左の空間が広く、右の空間が少し狭いので若干安定感にかける。#2は左の空間の方が若干広いが面積が同じくらいで安定して見え、文字組の際にも白い空間のリズムが整うため、安定感がある。「TBS Sans TP」では、#2が採用された。

ブランディングフォントである「TBS Sans TP」は、TBSの新ブランドプロミス「最高の“時”で、明日あすの世界を作る」のコピービジュアルを始め、番宣CMやグループ会社や各サービスのロゴなど、あらゆる場面で使用されています。デザイナーチームでは、使用するフォントを検討する必要がなくなったことで、とても効率的に進めることができ、誰が担当してもデザインにブレがないので、TBS Sans TPを使える安心感が大きいと言います。

「うまく伝わるか不安ですが、ブランディングフォントが無くては生きられない体になってしまった感じです (笑)。担当者の好みやその時の気分に左右されず、いつ誰が担当しても同じ見え方になるように気をつけているので、毎回、どんなデザインにするか考える時間や、TBSらしさって何だろうと探る必要がなくなりとても効率的です。株主総会などの資料を見た役員にも、『これはTBSのフォントだよね』と認識されるようになっています。コーポレートフォントとブランディングフォントの両方があるからこそ、広く隈なくカバーできると感じています。」(團野慎太郎氏)

「基本的に、見出しなどデザイン要素が必要なところはブランディングフォント、文章や運用をしていくものはコーポレートフォントというすみ分けをしています。コーポレートフォントに関しては引き続き啓蒙が必要だと思っていますが、グループ会社を含めた全社員のパソコンにプリインストールされているのは、会社としては非常に大きな変化です。今までは、自分の好きなフォントを使えばいいと思っていた方々に、コーポレートフォントを導入することの意義や、使うことがとても大事だという認識が少しずつ広がっています。」(松原貴明氏)