特徴

都市フォント誕生のきっかけとなった書体
地域特有の文化資源を書体デザインに活用する。これはタイププロジェクトが提唱している都市フォント構想を貫く基本的な考えかたです。都市フォント構想は、都市が持っている個性や魅力をフォントのデザインに取り入れることで、都市らしさを具現化するための構想です。金シャチフォントは、名古屋開府400年にあたる2010年にプロトタイプを発表しました。都市フォント誕生のきっかけとなったフォントファミリーです。華やかでゴージャス感のある「金シャチフォント 姫」と江戸文字をベースにした筆文字の「金シャチフォント 殿」の2つのシリーズがあります。

シャチホコの反りと名古屋城の破風
金シャチフォント 姫は、ほっそりとした横画に対し、どっしりとした縦画の太さを持たせた明朝体で、起筆はシャチホコの反りを取り入れた独特なかたちをしています。一般的な明朝体の多くでは、横画終筆部に見られる三角形の「ウロコ」を直線で構成していますが、金シャチフォント 姫の終筆は名古屋城の破風と屋根の先端の反りを反映したかたちにしています。横画の起筆部と終筆のウロコをいずれも反らせることで、この書体に独特のリズムと表情を与えています。横画の起筆・終筆に取り入れた反りが特徴的な明朝体漢字と、巻き髪を思わせるたおやかで優雅な仮名、長いまつ毛に似た装飾的な要素を盛り込んだ欧文からなるプチ・ゴージャスなフォントです。

伝統に新しいインパクトを与える
金シャチフォント 殿は、堂々たる殿様ぶりを感じさせる筆文字系のフォントです。太い筆に墨をたっぷり含ませたようなストロークに律動的なうねりと反りをもたせ、伝統的な様式美を活字書体に昇華させました。個性的な面構えと粘りを感じさせる線質は、生き生きとした人間の存在を感じさせます。江戸文字に名古屋の濃い味付けを加えたインパクトの強いデザインは、見出し書体のカテゴリーに新しい風をもたらすでしょう。姫、殿ともに名古屋弁に特徴的な「みゃ~、りゃ~」といった語尾の組み合わせを合字で表現できます。伝統を汲みながら現代に通用する魅力ある書体。金シャチフォントは、タイププロジェクトのチャレンジ精神を体現した書体です。
- WHITE MODE
- BLACK MODE
- A姫
- A殿
ファミリー・仕様

文字セット
スタンダード版 (StdN)
金シャチフォント 姫:9,525字 (Adobe-Japan1-3をベースにカスタムグリフを追加)
金シャチフォント 殿:9,543字 (Adobe-Japan1-3をベースにカスタムグリフを追加)