生きた文字による体験価値の向上 バルミューダ株式会社

バルミューダは2003年に東京で設立されたクリエイティブとテクノロジーの会社です。自由な心で夢見た未来を、技術の力で実現して人々の役に立つことをミッションとしています。2021年8月にIT機器・サービスを領域とする新ブランド、BALMUDA Technologiesが誕生し、第一弾製品として5GスマートフォンBALMUDA Phoneを発表しました。BALMUDA Phone は、4.9インチの高精細画面と美しいカーブの背面で構成されたスマートフォンで、コンパクトで軽く、持ちやすく、使うほど手に馴染む自然な大きさのハードウェアと、シンプルかつ快適な使用感の基本アプリを独自で開発しています。

バルミューダでは、スマートフォンで行うことの多くは、画面に表示される文字を介しており、フォントの良さが製品の使い勝手や心地良さにつながると考えました。スペックで測れない部分の価値を最重要視し、スマートフォンにおいて一番長く接する文字の体験価値の良化を目指しました。

「文字のふところの広さから、小さな文字にしてもすっきりとして読みやすく、適度な丸みを帯びたエレメントに優美で軽やかな雰囲気を感じました。ウエイトが細くても認識がしやすく、心地よく読み続けることができるというのが第一印象です。社内では、AXIS Fontは最も美しい日本語フォントの一つだと捉えていて、日本語の読みやすさ、文章の美しさではAXIS Fontだというのは社内一致の考えでした。」と、ITプロダクツ本部UIチームの赤尾亮氏は語ります。

出荷後に機能を一切変えられない家電とは異なり、スマートフォンは発売後もソフトウェアを更新することで継続的に機能を向上することが可能です。バルミューダでは、発売後もBALMUDA Phoneの体験価値を向上させたいという思いから、システムフォントの置き換えを決定しました。システムフォントの特性として、読みやすさだけではなく違和感の少なさも重要です。さまざまなアプリケーションやWebサイトの見え方だけではなく、日本語以外の言語や絵文字などの組み合わせもあります。また、インターフェイスの一部にも使用されることから、あらゆる状況において違和感を排除する必要がありました。

2022年5月、アプリの改良などの快適さを向上させる様々なアップデートを行い、表示用フォントとして美しさと読みやすさ、文字の組み合わせのバランスを追求し、最適な数値のAXISフィットフォントを「AXIS Balmuda」として採用しました。

「AXIS Fontは数ある和文フォントの中でも、美しさと違和感の無さが突出していました。細かくウェイトの指定ができるフィットフォントサービスはまさに目から鱗でした。これまで和文書体と欧文書体の混植には、書体がもつベースラインや文字サイズ、ウェイトなどの情報の違いが大きく、綺麗な文字組を実現することが困難に感じていましたが、フィットフォントサービスを利用することで和欧混植のクオリティがぐっと高くなったと実感しました。」

BALMUDA Phoneは、スケジューラや計算機、カメラやメモ、時計の基本的な機能をシンプルかつ快適に使っていただくことを目的として開発しています。導入にあたっては膨大な数の画面の検証を行い、アプリやシステムにみつかった新たな課題を解決しました。その結果、見やすくなった、心地よいという使用感に対する好意的な評価を得ているといいます。

「一番違いを感じたのは、チャットなどのコミュニケーションツールです。例えば『おはよう』と届く文字が、とてもおだやかで優しく感じられ、同じメッセージなのに受け取る印象が全く変わります。実際に生きた文字で体験をすると、ここまで違うのかと社内でも驚きがありました。」

バルミューダでは、電化製品を通して心躍るような素晴らしい体験を届けしたいと考えています。時短や便利のためではなく、製品を使ったときの嬉しさや驚き、使い心地などスペックでは表現できない細部にこだわったものづくりをしています。

「私たちがコミュニケーションで常に心がけていることは、製品を通じてお客さまの生活に何を体験としてお届けしたいのかを伝えるようにすることです。そういった部分をどのように表現し、お伝えするかというコミュニケーションには相当に時間をかけています。『AXIS Balmuda』をシステムフォントとして採用したことをお知らせしたところ、BALMUDA Phoneをご利用のお客様に続々とアップデートしていただいており、新しい体験を楽しみにしていただけたことを感じました。」

BALMUDA Phone画面