カンペール・ジャパン オフィスマネージャー 岡野 直子氏

人生の歩み方を提案するブランドに調和するフォント

スペインに本社を置くカンペールは、1975年、新しいライフスタイルの反映そして自由なばかりはではなく包み込むように快適なクリエイティビティをコンセプトとして設立されました。現在、スペイン国内はもちろんロンドンやパリ、ミラノなど欧州各地をはじめとして世界中の主要都市にショップを構え、シューズメーカーという枠組みを超え人生とともに歩き続ける靴を提供するブランドとして多くの人々から愛されています。

2009年、カンペールは従来のエコロジカルなイメージから「クリーン」なイメージへとリフレッシュしました。最初に決定されたのは白を基調としたコーポレートカラー、次に欧文コーポレートフォントとしてUniversが決まりました。そして、日本語コーポレートフォントとして3種類の候補書体の中から、欧文コーポレートフォントとの相性がよく全く違和感がないこと、ブランドメッセージを伝えるためにどれだけカンペールらしくなるかという視点で本社のブランド管理部門とも協議した結果、AXIS Fontが選ばれました。

現在は、プレスリリースや名刺、封筒、レターヘッド、POP、さらに内部で使用するプロダクトガイドなどあらゆる印刷物でUniversとAXIS Fontが使用されています。

カンペール・ジャパンでオフィスマネージャーを務める岡野直子氏は、「2009年の秋冬シーズンからコーポレートカラーを白に変更し、クリーンでシンプルなイメージを打ち出すことになりました。それにともない、欧文フォントがそれまで使用していたULISSA RoundedからUniversへ変わったのです。クリーンなブランドイメージと合い、かつ欧文のコーポレートフォントと自然に調和するフォントを探していくなかで、AXIS Fontと出会うことができました。AXIS Fontが存在してくれていることに感謝しています」と述べています。

ショップスタッフはブランドのアンバサダー(大使)として、カンペールの考え方や靴に込められた思いをお客さまに届けるという大切な役目を担っています。ブランドの価値をスタッフ間で共有し、さらにはブランドが発信するメッセージを正確に外部に伝えるうえで社員教育からブランドイメージを徹底することが大切だと考え、プレゼンテーションやショップスタッフマニュアルなどの内部資料も同様にコーポレートフォントを使用しています。

カンペールのトレーニング資料とプレスリリース。 Univers CondensedにAXIS Condensedを合わせて使用している。すべての局面においてブランドイメージを一貫させるため、書体だけでなくそれぞれのフォーマットも各国で統一されている。

「履き心地や歩きやすさなどの機能性やお洒落を楽しむためのファッション性ももちろん重要な要素ですが、カンペールの魅力はそれだけではありません。ネーミングやデザインなどのさまざまな表現方法に、ちょっとした遊び心が常に潜んでいます」

靴とは人生が表れるもの。1877年に熟練した靴職人であったアントニオ・フルーシャがマヨルカ島で創設して以来の伝統を踏まえながら、革新的なアイデアを盛り込みつつ、真面目だけど遊び心を忘れない。靴を通して人生の歩み方を提案したいというカンペールは、リピーターが多いことでも知られています。

カンペール・ジャパン オフィスマネージャーの岡野直子氏とタイププロジェクトの鈴木功。カンペール表参道のショップにて。

(写真/五十嵐 絢也)